■よりよいSEO会社と付き合うために

 鈴木さんはこうした一連の状況で「中小規模サイトが大規模サイトに勝つチャンスが十分にあることを意味している」と強調したうえで、Webサイトを成功に導くには「本質」を理解し、「実行性」のある方法論を提供できる業者と手を携えることが重要だと言う。では、そのようなWeb・SEO業者を選定するにはどうしたら良いかとの問いに、少し考えて以下のように答えた。

「わかりやすいことで言えば、<Googleだけに対策すればいい>と決めつける業者は避けたほうがよいでしょう。確かにいま日本の検索エンジンのシェアはGoogleが90%(Googleの検索技術を導入しているYahoo!を含む)、Bingが5%ほどと圧倒的ですが、変化の激しいIT業界ではいつ逆転するかわかりません。それに、シェアが少なくてもライバルが少なければ効果を上げやすいマーケットになります。そこを無視するというのは戦略的にもったいないと思います」

 また、「疑問があったら<なぜそうするんですか?>と率直に質問して、その答えが本質的かどうかを見極めてほしい」と鈴木さん。たとえば、GoogleはWebサイトの作成にあたって、パソコンやスマートフォン、タブレットなどそれぞれの画面サイズに合わせて自動的に表示される「レスポンシブWebデザイン」の使用を推奨している。鈴木さんもレスポンシブWebデザインを使う業者をすすめるが、「なぜ?」に対する答え方しだいで業者を評価するというわけだ。

「<Googleが推奨しているから>という理由は本質的ではありません。そのときは<Googleの推奨が変わったらどうするんですか?>と突っ込んでください。推奨とか主流とか最先端は変わるものです。Webサイトのパソコンでの表示をそのままスマートフォンで利用すると見にくくなってしまうのは、デバイスが違うからではなく画面サイズが異なるためです。だからこそ、デバイスを判別して表示を変える方法などではなく、デバイスが同じでも画面サイズを基準に表示を変えるレスポンシブWebデザインが本質的であり、これから新しいデバイスが出てきても、また、デバイス毎の規格が変わっても影響を受けない方法になるのです。主流や最先端などの変化に左右されない答えが返ってきて、専門知識のないあなたにも納得できるように説明できるなら、長く付き合っていける業者と判断して良いと思います」

 ただ、1つのことだけで全てを判断できるような魔法のような手法はないので、さまざまな要素を検討しなければならないと鈴木さんは語る。6月7日に出版された鈴木さんの新著『Webプロジェクトを成功に導く 戦略的SEO思考』は、SEO対策の本質について掘り下げ、また、実行性を追及することで、誰でも業者の選定やプロジェクトの管理ができるようにする書籍とのことなので、詳細はそちらも参考にして欲しい。
本質的な答えとは? それこそ「戦略的SEO思考」を駆使して質問を重ね、自分で見つけるしかないだろう。