「SEO対策の一丁目一番地は検索キーワードの選定ですが、私の会社にコンサルティングを依頼してくる企業のWebサイトを分析すると、誤ったキーワードを選んで対策しているサイトが結構多いのです。一丁目一番地からつまずいていたら収益に結びつくはずがないでしょう。たとえば、パソコンのウィルス対策ソフトなどを開発・販売する東証一部上場のA社の販売サイトでは、<パソコン>というキーワードにSEO対策をしていました。これではA社のソフトを購入する可能性のある人たちを集客できるはずがありません」

 素人目には、A社が選定した「パソコン」という対策キーワードは正しいように思えるのだが、どこが間違いなのだろうか。

「<パソコン>というキーワードは、検索件数(その語句が検索される回数)自体は多いものの『パソコンを買いたい』『パソコンを修理したい』『パソコンとは何かを知りたい』など、さまざまなニーズが混ざっています。それに、パソコン本体を販売しているWebサイトやメーカーの大規模サイトと表示順を争うことになります。つまり、上位表示が非常に大変なわりにはA社のソフトの情報を求めて検索している人が少なく、本来の目的である<購入>につながらない効率の悪いキーワードと言えるわけです。東証一部のIT系企業ですら戦略的にSEO対策を考えることができず、こんな初歩的な誤りを見過ごしているのです」

■SEO業界は方法論を失っている

『何を言っているのかわからない』『結局、言ったことを実行できない』。SEO専門の会社と付き合っていて、そんな経験をしたことがある人は少なくないだろう。鈴木さんに、現在のSEOサービスのわかりにくさの原因を尋ねてみると、その根底には「本質」や「実行性」の欠如があるという。

「2011年からの検索エンジンの飛躍的な進歩以降、私のもとには大手企業も含め、SEO対策サービスを提供しているさまざまな企業から、『どのような対策をしたら良いかわからない』という相談が後を絶ちません。自分たちも何をしたら良いかわかっていないのですから、その説明を聞いているクライアント側が理解できないのは当たり前です。とくに、現在のSEOサービスは、本質を理解せず、また実行性を考慮できていないサービスが多くなってしまっています」

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現在のSEO対策で最も重要とされる要素の1つは