現在のSEO対策で最も重要とされる要素の1つであるコンテンツの「オリジナリティ」。これほど当たり前となった要素についてさえ、SEO業界で正しく理解できている人はまだまだ少ないという。

「私はいつも、セミナーやコンサルティングでコンテンツの『オリジナリティ』とはどういうことか確認しますが、皆さん『他にないまったく新しいもの』と解釈し、まったく新しいコンテンツを制作する必要があると回答されます。しかし、これは間違いです。たとえば、アメリカでSEO対策に関してGoogleからレポートが出されたとき、日本の利用者にとって、(1)英語で書かれた原文のままのコンテンツ、(2)別の人がただ日本語に翻訳しただけのコンテンツ、(3)日本語に翻訳したレポートにSEO対策の専門家がわかりやすく解説しまとめ直したコンテンツの3つがある場合、どれが検索結果では上位に表示されるべきでしょうか。『オリジナル』という意味では、1番が(1)の原文の英語のコンテンツ、次に(2)の日本語に翻訳したコンテンツ、そして、(3)のまとめ直したコンテンツが最後となります。しかし、検索エンジンの利用者にとって、オリジナルかどうかは大切な問題ではありません。求める内容がよりわかりやすいことが重要なので、翻訳だろうとまとめ直しだろうと、よりわかりやすいのならそちらに行き着けた方が価値があります。そのため、利用者の求めるものを提供するためには、検索順位は『オリジナル』の意味での順位とは逆になり、まとめ直しの(3)が1番、(1)の原文が最後になるべきであり、オリジナルにこだわりすぎればその検索エンジンは利用者に満足してもらえず、使われなくなってしまいます」

 検索エンジンの絶対的な基準は、「利用者の求めるもの」を提供することである。しかし、現在のSEO業界では、対策の柱になる要素に関してさえも考察が深められていないという。表面的なことにとらわれ「本質」を見失った戦略や方法論では、望んだ成果は上がるはずもない。SEO対策を実行するときはもちろん、サービスを選定する際にも、本質を考えられているかどうかを基準にすることは長く大きな成果を上げ続けるために大切である。

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方法論と実務の間の隔たり