また痛ましい事件が起きてしまった。熊本の県立高校に通う女子生徒(17)が5月、自らの命を絶った。いじめをうかがわせる遺書があり、写真共有アプリ「インスタグラム」がきっかけだったという声もある。また、埼玉県の高校2年生の女子生徒が昨年4月に自殺した事件はツイッターでのいじめがきっかけだと県教委の第三者審議会が認定した。いつでも、どこでも、誰とでもつながれる。便利で手軽なSNSの裏側で、高校生に何が起きているのか。
【画像】キラキラ投稿とのバランスを取る「言い訳ハッシュタグ」
■“言い訳ハッシュタグ”駆使して キラキラ抑制も
今回の事件では、自殺した女子高生はインスタグラムのフォロワーや男友達が多いことをねたまれていると家族にこぼしていたと報道されている。ITジャーナリストで10代のSNS事情に詳しい高橋暁子さんは高校生のインスタ事情について、気を使う動きが出ていると指摘する。
「インスタはルックスが優れていたり、オシャレだったりすると『いいね』やフォロワーが増える傾向にあるが、それを見て劣等感を抱く人も出てくる。マイナスの感情を刺激しないために、一時期『言い訳ハッシュタグ』というものが流行りました」
言い訳ハッシュタグにはいわゆる“オチ”のような役割があるという。「豪華な食事やブランド物といった写真に『#でも金欠』といった庶民っぽさを付け足すことで、キラキラとのバランスを取る効果がある」(高橋さん)
また、10代の若者たちは評価社会で生きていると高橋さんは見ている。「2011年のツイッターの流行からフェイスブック、インスタでは『いいね』の数やリツイート、フォロワー数が評価の一つになっている」と分析する。
インターネットの質問投稿サイトにはインスタに関する悩みが日々書き込まれている。「私の投稿にだけリアクションしない」、「リア充アピールがうざい」、「友達よりいいねが多いか気になる」といった内容が目立つが、どれも直接中傷するわけではないのが特徴的だった。