写真は、銀座四丁目の京橋方の停留所から新橋の方角を撮影した。銀座二丁目で折り返し五反田駅前に向う4系統と、新橋で折り返してきた南千住行きの22系統が行き交う。華やかな銀座の空に張り巡らされる架線も、どこか懐かしい。交差点左側の銀座五丁目角は、ビール党の殿堂「サッポロビヤホール」。ビールを楽しんだあと、都電に揺られて家路につく優雅な「左党」も多かっただろう。後年、ここは高層建築に建て替えられ「ニッサンギャラリー」として銀座のランドマークの一つとなった。

■撮影:1963年4月29日

◯諸河 久(もろかわ・ひさし)
1947年生まれ。東京都出身。写真家。日本大学経済学部、東京写真専門学院(現・東京ビジュアルアーツ)卒業。鉄道雑誌のスタッフを経てフリーカメラマンに。「諸河 久フォト・オフィス」を主宰。公益社団法人「日本写真家協会」会員、「桜門鉄遊会」代表幹事。著書に「オリエント・エクスプレス」(保育社)、「都電の消えた街」(大正出版)「モノクロームの東京都電」(イカロス出版)など多数

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