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鉄道ファンなら知っている? 幻の「トリプルクロス」が見られる時間とは

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南文枝dot.#鉄道

全国でたった一つ、鉄道線と軌道線が直角に交差している伊予鉄道のダイヤモンドクロッシング

全国でたった一つ、鉄道線と軌道線が直角に交差している伊予鉄道のダイヤモンドクロッシング

電車が通っていない時はこんな感じ。線路が直角に交わっているのが分かる

電車が通っていない時はこんな感じ。線路が直角に交わっているのが分かる

ダイヤモンドクロッシングを題材にしたクリアファイル。全体的にミカン色で可愛い

ダイヤモンドクロッシングを題材にしたクリアファイル。全体的にミカン色で可愛い

とさでん交通のダイヤモンドクロッシング。上から見ると、きれいなダイヤモンドの形をしている(とさでん交通提供)

とさでん交通のダイヤモンドクロッシング。上から見ると、きれいなダイヤモンドの形をしている(とさでん交通提供)

地上から見たとさでん交通のダイヤモンドクロッシング。電車3両が重なるタイミングもあるという

地上から見たとさでん交通のダイヤモンドクロッシング。電車3両が重なるタイミングもあるという

「ダイヤモンドクロッシング(ダイヤモンドクロス)」と呼ばれる場所をご存じだろうか。鉄道や軌道の線路が平面で交差する鉄道ファン注目のスポットだ。

【写真】上から見るときれいなダイヤモンドの形!こんなダイヤモンドクロッシングも…

 かつては兵庫県西宮市の阪急電鉄西宮北口駅など各地で見られたが、鉄道の高架化や路面電車の廃止などにより姿を消していった。現在は全国でわずか数カ所が残るのみというが、その中でも、たった1カ所、鉄道線と軌道線が直角に交差している場所が、四国の松山市にあるという。

 路面電車と車が並んで踏切待ちをしている前を、市街地と郊外を結ぶ電車がガタンゴトンと横切っていく。路面電車に乗りながらその様子を見ていると、不思議な感じがする。郊外電車の高浜線と、市内電車(路面電車)の環状線・JR松山駅前線の線路が平面上で直角に交わっている伊予鉄道大手町駅北側の踏切では、電車が電車を踏切待ちするという珍しい光景を見ることができる。

 伊予鉄道を運行する伊予鉄グループによると、戦前の1936(昭和11)年、軌道線の西堀端―松山駅前間が開通した際に、郊外電車の鉄道線と交差させたという。安全に運行できるように、架線の電圧は両方とも600ボルトに統一した。

 全国のダイヤモンドクロッシングが次々と姿を消したこともあり、今や全国的に有名な鉄道スポットに。踏切の近くには、カメラを片手に多くの鉄道ファンが訪れる。同社の担当者は「自然発生的に鉄道ファンの皆さまに興味をもっていただけ、親しんでもらえるようになったのはありがたい」と話す。

 だが、このダイヤモンドクロッシング、踏切待ちをする電車が見られる時刻は正確には分かっていない。大手町駅を通過する郊外電車は1時間に4本あるが、市内電車は道路の混雑状況などによって運行状況が変わるため、踏切に差し掛かる時間が読めないからだ。

 そして同社は2018年3月、ダイヤモンドクロッシングと、愛媛県のイメージアップキャラクター「みきゃん」、ライバルキャラクター「ダークみきゃん」をコラボレーションした、A4サイズのクリアファイル(税込200円)を発売。「みきゃん」が乗った郊外電車と「ダークみきゃん」が乗った市内電車が大手町駅北側の踏切で向き合っている、可愛らしいデザインだ。

 同社の担当者は「お子様を対象にした電車の乗り方教室などで配るノベルティとして製作した」としつつも、「鉄道ファンの方々にも買っていただければ……」と期待をのぞかせる。

 全国的に珍しい伊予鉄道のダイヤモンドクロッシングだが、市民にとっては、当たり前の光景のようだ。同社によると、これまでに「遅い」などの苦情が寄せられたことはないという。通勤などで市内電車を利用する松山市の大学教員の50代男性は「市内電車はもともとゆっくり進むので、踏切待ちをしていてもなんとも思わない。道路の信号で止まっているのと同じですね」と話す。

 ところで、四国には、他にもダイヤモンドクロッシングがある。高知市の名所・はりまや橋近くのはりまや橋交差点だ。ここには、とさでん交通の路面電車が走る軌道線が、平面上で直角に交差しているだけでなく、交差している軌道線同士もつなげられている、世界でも非常に珍しいというダイヤモンドクロッシングがある。

 とさでん交通によると、1928(昭和3)年、国鉄の高知駅と桟橋を南北に結ぶ路面電車が開通。その時に、桟橋、伊野、後免(ごめん)、高知駅の四方から自由に電車が運行できるようにしようと、軌道線を平面で交差させることとした。

 こうしてできたダイヤモンドクロッシングだが、近年、マスコミに取り上げられたことで知名度がアップし、全国的に有名な鉄道スポットとなった。同社の担当者は「注目されるのはPRにもなる」と喜ぶ。

 そしてこのダイヤモンドクロッシング、なんと、3両の電車が重なるタイミングがあるという。同社によると、それは、「平日の午前8時12分ごろ」。交差点を直進ではなく、右折、左折する電車が、ほぼ同時に通過するのだ。一部の人からは「トリプルクロス」と呼ばれるレアな瞬間だが、信号や乗客の乗り降りの関係でずれることもあるため、なかなかお目にかかれないという。

 線路が平面上で交差しているといえばそれまでだが、電車が踏切待ちをしたり、複数の電車が交差点に同時に侵入したりする光景は、なかなか興味深い。四国を訪れる機会があれば、足を運んでみてはいかがだろうか。(ライター・南文枝)


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