ソフトバンク・サファテ (c)朝日新聞社
ソフトバンク・サファテ (c)朝日新聞社

 プロ野球のペナントレースの行方を大きく左右するのが外国人選手だ。今シーズンも多くの新外国人選手が来日しており、カスティーヨ(西武)はソフトバンク打線を相手に5回までパーフェクトに抑え込む見事なデビューを飾った。

 セ・リーグでも、アルモンテ(中日)が3番に定着し、3割を大きく超える打率を残し打線を牽引している。一方で来日してからの在籍年数が長く、チームに欠かせない存在となっている選手も少なくない。そこで今回はそのような“優良外国人”と呼ばれる選手を紹介しながら、日本で成功するための条件を考えてみたいと思う。

 現役で優良外国人選手の代表格はやはりサファテ(ソフトバンク)になるだろう。広島、西武時代は起用法が一定せずに安定感はもうひとつだったが、2014年にソフトバンクに移籍して抑えに定着すると、翌年からは3年連続で最多セーブのタイトルを獲得。昨年は日本記録となる54セーブをマークし、シーズンMVPにも輝いている。

 サファテの最大の武器は常時150キロを超えるストレート。分かっていても打てない威力があり、フォークとストレートのほぼ二つの球種だけで打者を押さえ込んでしまう。良い抑え投手の条件として奪三振率の高さが挙げられるが、サファテのソフトバンクでの4年間の通算は12.85という驚異的な数字になっている。

 今シーズンも4月8日の楽天戦では失点を許したものの、11日までに4試合連続セーブをマークし、4回で6三振を奪うなど衰えは見られない。3月27日には来年から新たに3年契約を結ぶことが発表された。昨年までに日本で通算229セーブをマークしているが、順調にいけば300セーブは楽にクリアするだろう。

 サファテに次ぐ存在と言えるのがメッセンジャー(阪神)だ。2010年に来日した当初は中継ぎとして期待されていたが、シーズン途中から先発に転向して見事に成功した。昨年までの8年間二桁勝利は6度を数え、完全に先発投手陣の柱となっている。

 メッセンジャーの良さは、とにかくタフなところ。昨年は打球を受けて右脚を骨折したことで夏場に離脱したが、それ以外では故障で戦線を離脱したことは一度もない。シーズン最多投球回も過去3度記録しており、試合を作る能力の高さはリーグでも屈指である。今シーズンも開幕から2連勝を飾っており、その安定感はまだまだ健在だ。

 昨年までに通算84勝をマークしており、球団の外国人投手最多勝記録(バッキーの100勝)の更新も見えてきた。今月中にも国内FA権を獲得する見込みであり、来シーズンからは外国人枠を外れることも記録更新の追い風になりそうだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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