新人王に選ばれた中日・京田(左)と西武・源田 (c)朝日新聞社
新人王に選ばれた中日・京田(左)と西武・源田 (c)朝日新聞社

 プロ野球の世界では昔からルーキー、もしくはそれに近い若手選手がブレイクした翌年に大きく成績を落とす現象を「2年目のジンクス」と表現される。

 今年の場合では昨年新人王に輝いた京田陽太(中日)と源田壮亮(西武)が、その対象として見られる筆頭選手と言えるだろう。そこで今回は過去のブレイクした若手選手から、2年目のジンクスにはまる選手、はまらない選手の傾向について考えてみたい。

 近年、投手でジンクスにはまってしまった例を挙げると、プロ入り2年目の2008年にパ・リーグの新人王を獲得した小松聖(オリックス)が当てはまるだろう。この年の成績は22試合に先発して15勝3敗、防御率2.51という見事なもので、翌年に行われた第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表にも選出されている。

 しかし、2009年は開幕投手を任せられたものの調子が一向に上がらず、わずか2試合の登板で二軍に降格。その後も前年のようなピッチングは全く見られず、17試合に先発して1勝9敗、防御率7.09という惨憺たる成績に終わった。

 セ・リーグでは2014年の新人王である大瀬良大地(広島)も2年目のジンクスに苦しんだ。即戦力として期待されて入団し、1年目はリーグトップの3完投を含む10勝をマーク。翌年2月には侍ジャパンの強化試合にも選出されるなど、順調にスターへの階段を上っているように見えた。

 だが、2年目は開幕から黒星が続き、6月からは中継ぎに転向。51試合に登板して20ホールドはマークしたものの、3勝8敗と負けが大きく先行し、勝てばクライマックスシリーズ進出が決まるシーズン最終戦では8回に登板して3失点で敗戦投手となっている。また、その翌年には故障で長期離脱も経験し、プロ入り4年目の昨年にようやく復調してきた印象だ(10勝2敗)。

 この2人に共通しているのはブレイクした翌年に日本代表入りしている点だ。活躍した年のオフはあらゆるイベントや取材が多くなり、十分なトレーニング期間を作ることができないことが多い。

 さらに、初めてフルシーズンを戦ったことによる疲労の蓄積もあるはずだ。そんな状態でありながら、ともに3月のシーズン前に日本代表での試合を控えていたことで、キャンプでじっくりと調整ができず、その後の故障の原因になっていたことも十分に考えられるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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