ここまでは2年目のジンクスにはまってしまった選手を中心に取り上げたが、逆にさらに成績を伸ばした選手もいる。投手では、2008年に新人王に輝いた山口鉄也(巨人)。翌年に防御率をさらに1点以上下げ、最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得した。

 さらに、則本昂大(楽天)、牧田和久(西武)も成績を伸ばした代表格だ。野手では長野久義(巨人)が2年目の2011年に首位打者を獲得しており、山田哲人(ヤクルト)も最多安打のタイトルを獲得した翌年から2年連続トリプルスリーという快挙を達成している。

 彼らに共通しているのは故障に対する体の強さである。昨年は山口が長年の勤続疲労から18試合の登板に終わっているが、それ以外は長期離脱したケースは皆無。相手チームからの研究と厳しくなるマーク、注目度の高まりからくるプレッシャーなど2年目のジンクスの要因はあらゆることが考えられるが、それらを乗り越えるためには、やはり強靭な肉体とコンディショニング能力が改めて重要な要素であると言えるだろう。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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