それはサラリーマンのこづかいの額を見ても明らかです。先ほどの「サラリーマンのお小遣い調査」によると、お父さんのこづかいの平均は月4万円弱。これに対して支出は、ランチ代、コーヒー代、月に2、3回の飲み代だけで、少なく見積もっても月3万5,000円ほどになります。

 月4万円のこづかいでは、やり繰りがかなり難しいはず。こづかいを月4万円しかもらっていないお父さんは、自分の知識やスキルを高めるためのインプット、つまり自己投資にはお金を回せないでしょう。

 インプットがないと、よいアウトプット(つまり質の高い仕事)を生み出せないのは当然です。そして、質の高い仕事ができない人の給料は、今の時代、上がることはありません。

 お父さんが65歳で定年を迎えるまで会社に在籍する期間は、あとどれくらいでしょうか。30歳の人なら35年、40歳の人なら25年、50歳の人でも15年もあります。さらに年金の受給額は減り続け、年金収入だけでは老後の生活が成り立たない時代が訪れています。70歳になっても80歳になっても働き続けることが普通になってくるはずです。

 AI(人工知能)が仕事を奪うとも言われていますね。AIに仕事を奪われないためには、人間にしかできない仕事に特化して、スキルを絶えず磨き続けていくことが必要なのです。

 このような社会変動が起こっている今、「家計が厳しいからしょうがない」とお父さんのこづかいを減らすという判断は、家族全員の未来のためにはなりません。

 お父さんは一家の大黒柱です。会社でいえば一番の稼ぎ頭の部署です。家庭を一つの会社として考えると、稼ぎ頭の部署には、会社の資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を集中させて伸ばすという判断になるはずです。

 資源を投下された部署(お父さん)が正しい判断を行えれば、より活躍して成果を出し、たくさんの売上(お給料)を会社(家庭)にもたらしてくれるという好循環が起こります。しかし資源を投下しなければ、そのような循環は起こりません。

 お父さんにとって毎月自由に使えるお金がなければ、本を読むことも、研修やセミナーに参加することも、資格試験を受けるための参考書を買うこともできません。インプットができない環境にいるのに、収入を高めていくことは非常に難しいでしょう。

 そのようにして考えれば、お父さんのこづかいを減らすことが、家庭にとっていかに愚策なのかがよくわかるはずです。家計をよくしたいなら、お父さんのこづかいは減らすのではなく、増やすという判断が正しいのです。(取材・構成/平行男)