単純に20歳未満の孫に1500万円を一括贈与すると、約450万円の贈与税がかかります。それがこの制度を使えば、最大1500万円×孫の人数分だけ非課税贈与できて、将来支払う相続税を大きく減らすことができるのです。

■マイホーム購入でも結婚資金でも非課税に

 教育資金以上に大きな出費といえばマイホームの購入。国は住宅資金についても、祖父母や父母などの直系尊属から、20歳以上で所得2000万円以下の子や孫への生前贈与に手厚い非課税枠を設けています。

 それが「住宅取得等資金の贈与税の非課税」です。この特例は消費税増税後の景気対策の面が非常に大きく、消費税8%と10%のときで非課税枠がかなり違う点がポイント。安倍政権の公約どおり、2019年10月以降、消費税が10%になったあとに住宅を取得した場合、19年4月から20年3月までの1年間は“良質な住宅用家屋”で3000万円、一般住宅で2500万円の生前贈与が非課税になります。現在の非課税枠は最大で良質1200万円、一般700万円ですから、消費税2%分より贈与税の非課税枠拡大のほうが断然大きいですね。まとまった資金を贈与できるなら、20年3月までに駆け込み贈与をして消費税10%で住宅を取得したほうがお得です。

 ちなみに“良質な住宅用家屋”とは、国が定める断熱性能などの省エネルギー基準を満たす住宅のこと。バリアフリー性能の高い2世帯住宅も含まれます。購入する住宅の要件は、新築なら50平方メートル以上240平方メートル以下で床面積の2分の1以上が居住用であること。中古の場合は広さは同じですが、耐震基準を満たしていて、耐火建築物なら築25年以内、木造なら築20年以内などが条件です。

 この制度は暦年贈与の非課税枠110万円も加算して使えるのが魅力です。また暦年贈与のかわりに「相続時精算課税制度」(最大2500万円まで非課税で生前贈与。亡くなった後に相続税が発生)を選ぶこともできます。こちらを利用すると、さらに非課税で贈与できる金額は増えます。親が子や孫の住宅取得の面倒を丸ごと見る世帯には欠かせない制度といえそうです。

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