教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置とは?
教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置とは?

 もしも、あなたが将来の相続税対策も兼ねて子や孫世代への生前贈与を考えているなら、今は特例を使うラストチャンスです。教育資金1500万円、住宅取得資金3000万円、結婚子育て資金1000万円の計5500万円が最大で非課税贈与できる特例は終了間際。制度をよく知って有効に活用しましょう。週刊朝日ムック「定年後のお金と住まい2018」で詳しく解説しています。

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 2017年6月末時点で過去最高の1832兆円に達した日本の個人資産。しかし、その7割近くを60歳以上の高齢者層が握っています。

 なかなかお金を使わない祖父母世代から、なにかとお金が必要な孫世代への資産移転を促進して消費を喚起したい――そんな意図もあり、安倍政権は14年4月の消費税増税で落ち込んだ景気を刺激すべく、15年度の税制改革で贈与税減税の特例措置を矢継ぎ早に打ち出しました。その大盤振る舞いのタイムリミットが迫っています。

 目玉政策となったのが「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」。孫1人あたり最大1500万円の教育資金を、贈与税をいっさい課税されることなく一括贈与できる特例ですが、19年3月末に終了予定です。すでに1兆2382億円ものお金が贈与信託され、約17万9千人の“孫”が恩恵を受けています(17年3月末時点、社団法人信託協会調べ)。

 この制度の要件は、直径存続の父母や祖父母が30歳未満の子、孫、ひ孫の教育資金を銀行や信託銀行に開いた専用口座に一括(まとめて)拠出することです。

 贈与された資金は、幼稚園から大学までの学校の入学金、授業料、学用品代、修学旅行代のほか、通学定期券代、留学のための海外渡航費や寮費などにも使えます。最大500万円を限度に、学習塾やピアノ、水泳教室といった習い事の費用も非課税対象になるのはうれしい限り。

 孫の側は父方、母方の祖父母から全部合わせて最大1500万円しか贈与を受けることはできません。しかし、銀行や信託銀行に専用口座(1人1口座のみ)を開設して信託契約を結べば、領収書を提出するだけで、口座内の贈与資金の払い出しや振り込みが簡単に行えます。いちいち贈与金のやり取りを確定申告しないで済む手軽さも、この制度がヒットした理由です。

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