ダルビッシュなど多くの選手が“重量化”の傾向(写真・Getty images)
ダルビッシュなど多くの選手が“重量化”の傾向(写真・Getty images)

 近年、プロ野球選手の巨大化が進んでいる。かつては180cmを超えれば長身と言われていたが、ダルビッシュ有(カブス)、大谷翔平(エンゼルス)、藤浪晋太郎(阪神)など190cmを優に超えるような選手も少なくない。昨年のドラフトでも椎野新(ソフトバンク4位)など4人の選手が190cmオーバーの長身で、185cm以上は20人にものぼった。しかし身長以上に顕著なのが体重の増加である。20年前の1998年、体重100kgを超えていた日本人選手は吉永幸一郎(ダイエー、巨人)、高橋智(オリックスヤクルトなど)のわずか二人であったが、今シーズンは実に16人もの選手が100kgの大台をクリアしている。重い順に選手を並べると下記のようになった。

井上晴哉(ロッテ・内野手):114kg
岩見雅紀(楽天・外野手):108kg
砂川リチャード(ソフトバンク・内野手):106kg
細川亨(楽天・捕手):103kg
中塚駿太(西武・投手):103kg
中村剛也(西武・内野手):102kg
新井貴浩(広島・内野手):102kg
沢村拓一(巨人・投手):102kg
清宮幸太郎(日本ハム・内野手):102kg
森本龍弥(日本ハム・内野手):101kg
山川穂高(西武・内野手):100kg
国吉佑樹(DeNA・投手):100kg
有原航平(日本ハム・投手):100kg
菊池雄星(西武・投手):100kg
T-岡田(オリックス・外野手):100kg
中崎翔太(広島・投手):100kg

 上位にはいわゆるスラッガータイプの選手が並んだ。かつても甲子園を沸かせた“ドカベン”香川伸行(南海、ダイエー)や“デーブ”の愛称で親しまれた大久保博元(西武、巨人)などの巨漢選手は存在していたが、現在ではそれを上回る体重を誇る選手も珍しくなくなっていることがよく分かるだろう。そしてもう一つ注目したいのが投手も多く名を連ねているという点だ。メジャー球団に所属しているダルビッシュと大谷も100kg近い体重であることは間違いない。そしてここに名を連ねている投手は、いずれも150キロを超えるスピードボールを誇る本格派である。この点が近年の野球選手の体格における最も大きな変化であることは間違いないだろう。

 かつては手足が長く、細身でスラっとした体形の選手が投手らしいとされていた。400勝投手の金田正一(国鉄、巨人)の公式プロフィールは184cm、73kgとなっているが、現在のプロ選手ではなかなかいない細身の選手ということになる。金田の時代まで遡らなくても今中慎二(中日)や西口文也(西武)など細身で先発完投する投手はどの時代にも少なくなかった。現役でも岸孝之(楽天)、増井浩俊(オリックス)などは細身で活躍しているが、圧倒的に少数派と言えるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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体重増加の理由は?