ダウンタウンの浜田雅功さん(右) (c)朝日新聞社
ダウンタウンの浜田雅功さん(右) (c)朝日新聞社

『ジャンクSPORTS』(フジテレビ系)が1月28日、8年ぶりのレギュラー復活を果たした。MCを務めるダウンタウンの浜田雅功が、スタジオに集められたさまざまなスポーツの現役アスリートたちの素顔を引き出していくトークバラエティ番組である。初回の3時間スペシャルは10.6%という視聴率を記録した。NHKの大河ドラマや日本テレビの『世界の果てまでイッテQ!』などの強力な裏番組がひしめく日曜ゴールデンの枠で、この数字を叩き出したのは大健闘と言っていいだろう。

『ジャンクSPORTS』に限らず、浜田がMCを務める番組は軒並み好調だ。1月1日放送の『芸能人格付けチェック』(テレビ朝日系)はYOSHIKIやGACKTが活躍して話題になった。また、芸能人が俳句や生け花で才能を試される企画が人気の『プレバト!!』(TBS系)も、安定して高視聴率を取り続ける人気番組となっている。

 もちろん、浜田には『ダウンタウンDX』『水曜日のダウンタウン』などコンビとしてのレギュラー番組もあり、そこでもMCを務めている。浜田の司会の魅力はどういうところにあるのだろうか。

 このテーマに関して印象に残っている話がある。ダウンタウンと共演したことのある某芸人が、彼らについてこんなことを語っていたのだ。

「ダウンタウンさんの何がすごいって、単純に2人ともめちゃくちゃ声がデカいんです」

 なるほど、と思った。たしかに、私もダウンタウンの番組の収録現場を何度か生で見たことがあるのだが、2人とも声がよく通っている。芸人だから生の舞台でのどを鍛えられている、というのはもちろんあるだろう。だが、ほかの芸人と比べてもダウンタウンの2人の声は一段と大きい。

 この声の大きさこそが、浜田のMCの最大の武器である。浜田の声は場を制圧する声だ。タイトルコールの一言、ツッコミの一言でその現場の空気を支配してしまう。何よりもそこに絶対的な信頼感がある。

 ゲストの話を聞いているときの浜田の表情には優しさと厳しさが同居している。『ジャンクSPORTS』に出演するアスリートの中には、人前で話すことに慣れていない人もいる。そういうときに浜田はいったん丁寧に話を聞こうとするのだが、目つきには鋭さがみなぎっている。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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