死去した西部邁さん(撮影・髙井正彦)
死去した西部邁さん(撮影・髙井正彦)

 評論家の西部邁さん(78)が21日早朝、東京都大田区の多摩川に飛び込み、病院に搬送された後、亡くなった。本人は最近、周囲に「死にたい」と漏らしており、入水自殺をしたとみられる。

【ウーマンラッシュアワーの村本大輔さんと対談はこちら】

 西部氏はここ数年、TOKYO MXテレビでのレギュラートーク番組への出演や執筆活動を続けていた。

 その一方、背中に持病を抱え、激しい痛みに襲われることもあった。そのせいもあり、周囲の人たちに死にたいと漏らすことも増えていたという。

 知人の一人は昨年末、西部氏から「私がいなくなったあとは家族をよろしく」と言われた。

「冗談だと思い、聞き流していた。でも体は相当辛かったはず。もう少し真剣に聞いていれば」と肩を落とした。

 同居していた娘の智子さんは「最近の父の著作にも死にたいようなことは書かれていましたが、それ以上のことは」と絶句した。

 昨年末にAERA(2017年12月18日号)でウーマンラッシュアワーの村本大輔さんと対談をした際には意気投合し、予定時間を延長し3時間に及ぶ政治談義に花を咲かせた。

 対談後も疲れをみせず、担当した記者やカメラマンを誘って行きつけの飲み屋に連れて行くなどの気遣いを見せていた。 

 このときのことを西部さんは周囲に、楽しい対談だったと話し、年明けには西部さんの最新の著作が村本さんに送られて来たという。

 村本さんは、西部さんが亡くなった当日が米国に3カ月の語学留学に旅立つ日。訃報を知るとTwitterでそのときの対談の様子を「何というか目のキラキラした少年と話してるような、そんな人。また話したかった」と呟いた。

 発見された遺書には、葬儀を望まないことなどが書かれていたという。(桐島瞬)