野性爆弾・くっきー (c)朝日新聞社
野性爆弾・くっきー (c)朝日新聞社

 2017年は「キングオブコント2017」(TBS系)、「M-1グランプリ2017」(テレビ朝日系)、「女芸人No.1決定戦 THE W」(日本テレビ系)などのショーレースが盛り上がり、そのまま年末年始のテレビ特番シーズンに突入。にゃんこスターをはじめ、さまざまな芸人がスターダムへとのし上がり、新年のお笑い番組を彩っていた。

【高橋 優『ルポルタージュ』のJ写真を野性爆弾・くっきーが描き下ろし】

 そんな華やかなお笑いの世界では、一方でテレビ出演は重ねているが、なかなか定着できない芸人もいる。“ミュージシャンズ・ミュージシャン”ならぬ、“芸人ズ芸人”とも呼ぶべき位置にいたのが、野性爆弾のくっきー(41)だ。だが、そんな彼が最近、徐々にテレビにも定着しつつある。

「くっきーさんは2017年の秋ごろから、テレビの出演本数が格段に増えた印象です。年末の風物詩となった『ガキの使いの絶対に笑ってはいけない』シリーズ(日本テレビ系)では、今年もトリのネタに登場していました。お笑いのライブもチケットは即日完売です。やはり既存の笑いとはかけ離れたオンリーワンなキャラクターは、テレビの枠を超えるので、賛否はあります。他の芸人はネタ以外では、ひな壇のコメントや番組MC、食レポなど番組の流れをいかに止めずにうまく笑いにつなげるかが、腕の見せどころになる。それでもテレビに出つつけるには、番組の流れに乗るしかないですから、内心やきもきしている芸人も多いはず。くっきーさんはそうした流れは無視ですからね(笑)」(放送作家)

 その場の空気や流れを無視して繰り出す笑いは、芸人やテレビ制作者としてはしびれる笑いを見せてくれるが、一般人にはなかなか理解できない。流れを無視したらエゴイズムたっぷりのお笑いはときに視聴者の不快感さえ呼び起こすだろう。白塗りだったり、おむつはいて赤ん坊のコスプレをしていたり、血糊を吐き出したり、軍人ネタなどタブーなネタも多い。ハッキリって意味がわからない彼の行動は一般の人からしたら面白くない以上に不快と取られる部分もある。こうした事情もあって、舞台上などでの人気があってもなかなかテレビでは活躍できていなかった。そんな彼の潮目が変わっているのだ。

「『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ系)などに出演すると、相変わらずのハチャメチャぶりですが、地上波で辛うじて放送できる芸に仕上げている。昨今のテレビバラエティーはいかに予想を裏切るかの競争になっていて、コンプライアンスが問われる中で、ギリギリのラインのことを平然とやってのけるので、制作サイドから重宝されつつあるのかもしれません。一方でアマゾンプライムで配信された『HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル』で全4シーズン中、3回目と最多出演を果たしている。松本人志さんなどお笑い界の先輩からも評価されている」(民放バラエティー番組ディレクター)

 一方、お笑い芸人の事務所関係者からはこんな話も聞かれた。

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スタッフに優しい一面も…