オフ中もそうなのだから、シーズン中にトレードされるスター選手の例など、もう枚挙にいとまがない。近年では1998年にマリナーズのエースだったランディ・ジョンソンがアストロズへ、2008年にはブレーブスの主砲マーク・テシェイラがエンゼルスへ、インディアンスの大黒柱CC・サバシアがブルワーズへ、レッドソックスの看板マニー・ラミレスがドジャースへ……。このような顔ぶれを見ていけば、スター選手のトレード通告は“非情”などではなく、実力を認められたがゆえの“名誉”だとすら言い換えられる。最終的には世界一に辿り着けなかったが、今年の夏にドジャースの“最後の1ピース”としてレンジャーズから移籍したダルビッシュ有のトレードも同じである。

 今オフにスタントンが超大型トレードで放出されれば、大リーグのトレード史に新たな1ページが加わることになる。ベーブ・ルースの系譜を継ぐ移籍劇。それもあくまでビジネスであり、これまでの歴史同様、悲壮感やドラマ性などには縁遠いトレードになることだろう。(文・杉浦大介)