衆議院選挙の自民党・公明党圧勝で、上昇する日経平均株価 (c)朝日新聞社
衆議院選挙の自民党・公明党圧勝で、上昇する日経平均株価 (c)朝日新聞社

 10月22日に行われた衆議院選挙で定数の3分の2以上の議席を獲得し圧勝した、安倍晋三首相率いる自民党、公明党の与党。金融市場はこの結果を歓迎しているようで、新聞各紙の情勢調査が出はじめたあと、日経平均株価は16日続伸し、24日の終値は2万1805円17銭まで値上がりした。

 安倍首相は、物価が下がり、経済が縮小していくデフレから脱却するため、アベノミクスを継続していく姿勢を示している。

 日銀トップ人事も迫るなか、今後の日本経済はどうなっていくのか。『日銀と政治 暗闘の20年史』の著者で、朝日新聞記者の鯨岡仁さんに寄稿してもらった。

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■日銀トップの人事迫る ポスト黒田は誰?

 アベノミクスの要となっているのは、金融政策だ。

 2018年4月に任期が切れる黒田東彦日本銀行総裁らの後任は、誰になるのか? 日銀正副総裁の人事に、はやくも関心が集まっている。

 日銀の正副総裁人事は、衆参両院の過半数による同意が必要だ。ただ、自民、公明の与党が圧勝したことにより、安倍首相は与党内さえまとめられれば、自ら選んだ正副総裁を、そのまま任命することができる状況になっている。

 ポスト黒田は黒田総裁――。有力視されているのは、黒田総裁の続投である。

 黒田総裁は13年4月に「異次元緩和」を打ち出し、その後も、マイナス金利やイールド・カーブコントロールなどを導入し、緩和路線を続けてきた。株価も上がり、景気も悪くない。物価は14年の消費増税後にマイナスに陥ったが、いまは1%に近づきつつある。目標の2%にはほど遠いが、政権内では「デフレではない状況をつくり出した」と評価する声がほとんどだ。

■首相ブレーンからは黒田続投に反対の声

 とはいえ、続投にはいくつかの反対論もある。

 1つは年齢の問題だ。黒田総裁はすでに72歳で、もし再任されれば、任期を終える時点で78歳になる。過去の日銀総裁のなかでは、突出して年齢が高い。「あまりに高齢すぎて、5年間の任期をまっとうできないのではないか」という心配だ。

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ポスト安倍を狙う「岸破聖太郎」とは?