2,172社のうち、1,279社(構成比58.8%)で従業員数が前年より増加した。平均年間給与が前年より「減少」した844社のうち、従業員数が増加したのは525社(同62.2%)で、全体を3.4ポイント上回った。採用増などで平均年間給与の伸び率鈍化に影響したともいえる。

■建設業が唯一の700万円台でトップに

 業種別のトップは、建設業の711万8,000円。全業種で唯一700万円台に乗せた。前年トップの金融・保険業が1.8%ダウンし、集計を開始以来、初めてトップとなった。活発な建設投資を背景に、好決算が続出した上場ゼネコンが引き上げた。次いで、水産・農林・保険業の694万6,000円、金融・保険業の694万円、不動産業の690万2,000円、電気・ガス業の690万1,000円の順。

 一方、最低は7年連続で小売業の515万3,000円。次いで、サービス業の539万円と、下位2業種は500万円台だった。ただ、小売業とサービス業の年間平均給与は7年連続の増加で、深刻化する人手不足に対応した待遇改善に動いている姿が透けて見える。

 伸び率トップは、電気・ガス業(前年比3.8%増)だった。安定業種の代表格だった電気・ガス業は、東日本大震災による原発稼働停止などで賞与カットが続いたが、2016年に5年ぶりに上昇に転じ、2017年3月期の伸び率は全業種でトップだった。続いて建設業(同3.1%増)の2業種が前年比3.0%以上の突出した伸びをみせた。

 前年を下回ったのは、不動産業(同2.0%減)と金融・保険業(同1.8%減)など3業種だった。不動産業と金融・保険業は2016年に700万円台に乗せたが、そろってマイナスに転じた。不動産業では不動産価格の上昇は続くが、高騰による投資物件などの動きの鈍さが従業員の給与に反映した可能性がある。また、金融・保険業はマイナス金利や低金利競争など金融機関の厳しい収益環境が影響した。

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