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古賀茂明「トランプ大統領と心中?突出した軍事優先主義を主張する安倍総理」

連載「政官財の罪と罰」

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米ニューヨークの国連総会で20日、一般討論演説する安倍晋三首相 (c)朝日新聞社

米ニューヨークの国連総会で20日、一般討論演説する安倍晋三首相 (c)朝日新聞社

著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。主著『日本中枢の崩壊』『日本中枢の狂謀』(講談社)など。「シナプス 古賀茂明サロン」主催

著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。主著『日本中枢の崩壊』『日本中枢の狂謀』(講談社)など。「シナプス 古賀茂明サロン」主催

●今すぐにやるべきことは何か?

 では、私たちが今やるべきこととは何だろうか。

 私は、米朝韓のみならず、中国、ロシアを含めた国際社会に対して、「日本は自国が攻撃されない限り、北朝鮮を攻撃することはしない」「アメリカが北朝鮮を攻撃する際、日本の基地を使わせない」という2点を表明することが必要だと考える。そうすれば、北朝鮮が日本を攻撃する理由はなくなる。

 アメリカが「ふざけるな。だったら日米安保は破棄だ」と抗議してきたとしても、ひるむ必要はない。「冷静に話し合おう」と言えば良い。考えてみれば、集団的自衛権はつい3年前までは、「憲法違反」だったのだ。アメリカもそれを前提に日米安全保障体制を築いてきたはずではないか。

 北朝鮮が事実上の核保有国となったことは否定しようがない。制裁強化で北朝鮮が核とミサイルを手放す可能性もほとんどない。それでも、対話を否定し、国際社会に向かって「圧力」と「(軍事オプションを含む)すべての選択肢」を声高に叫ぶ安倍政権は、今姿を現しつつある重大なパラダイム転換に気づいていないようだ。それはどういうことか説明しよう。

 本来、全ての主権国家は平等であり国際法上同等の権利を持つべきだと言えば、ほとんどの人が、「それは当たり前のことだ」と思うかもしれない。いわば、普通の人の「常識」である。

 しかし、第2次世界大戦後の世界の「常識」はこれとは全く異なる。

 ――核兵器は米英仏中ロの5大国しか持ってはいけない(核拡散防止条約、NPT)。国際安全保障の仕切り役はこの5大国で、その仕組みは、国連安全保障理事会における「常任」理事国という特別な立場と、拒否権という特権により保証される。その他の国は、5大国より一段下等な国として、NPTに加盟して核兵器保有の権利を放棄する代わりに原発など核の平和利用だけは認めてもらえる――というものだ。

 この「常識」によれば、NPTから脱退し、国連安保理決議に反して核兵器とミサイルの開発を進める北朝鮮はとんでもない無法者、「ならず者国家」だということになる。

 しかし、インド、パキスタンやイスラエルは、NPTに参加せずに核兵器保有国となった。世界から非難はされたが、今や、事実上核保有を認められ、国際社会で普通の国として、何の制約も受けずに活動している。

 こうした状況は、北朝鮮から見れば、全く理不尽である。北朝鮮は、米国こそ「ならず者国家」だと見ている。イラクのフセイン体制を「大量破壊兵器の保有」を理由に崩壊させたが、その根拠はねつ造であった。これは明らかな国際法違反である。しかし、米国は何ら制裁を受けていない。インド、パキスタン、イスラエルも同様だ。

 しかも、米国は、北朝鮮を敵視し、今も攻撃の口実を探している。北朝鮮は、決して戦争を望んでいないが、自らの体制を守るために、米国の攻撃への抑止力を持たなければならない。これは、どの国にも認められている自衛権の範囲内である。

 金正恩政権には、自国経済が危機的状況にあり、それを構造改革と積極的な投資により再生しないと国内から体制が崩壊するという危機感がある。一方、通常兵器で米国に対抗しようとすれば、いくらお金があっても足りない。そこで、通常兵器による防衛は諦め、核兵器とICBM(大陸間弾道弾)による抑止力だけで対米防衛を図るという戦略を選択した。

 北朝鮮のこの論理は、戦後の世界の常識から見れば「非常識」だが、5大国の特権を否定し、すべての国が国際法上全く平等の権利を持つという「普通の人の常識」をベースとすれば決しておかしなことではない。


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