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古賀茂明「銀行を特別扱いする安倍政権への対抗策とは?」

連載「政官財の罪と罰」

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著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。主著『日本中枢の崩壊』『日本中枢の狂謀』(講談社)など。「シナプス 古賀茂明サロン」主催

著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。主著『日本中枢の崩壊』『日本中枢の狂謀』(講談社)など。「シナプス 古賀茂明サロン」主催

 麻生太郎金融担当相は、過剰な貸し付けが問題になっている銀行のカードローンについて「審査の厳格化を徹底するために検査を実施する」と9月1日、発表した。最近、銀行のカードローン(簡単な審査を通った人に交付された銀行カードを使って、予め契約した貸出枠の範囲でCD・ATMを通じて資金を借り入れることができる個人向けローン)の残高が急激に増加し、消費者が破産する例が増えている。金融庁が対策に乗り出したのはそれが直接の原因だが、そこには裏がある。それをじっくり解説してみよう。

 「サラ金」は古くから問題となってきたが、とりわけ社会の注目を集めたのが2000年代初頭だ。

 バブル経済の頃に年間1万件を割っていた個人の自己破産が急増し、03年には過去最高の約24万件になった。破産予備軍と言われる多重債務者も一時は200万人に上り、大きな社会問題となった。

 当時、利息制限法で金利の上限は、元本10万円未満の場合年20%、10万円以上100万円未満は18%、100万円以上は15%だったが、それを超えて貸しても一定の条件を満たせば、出資法という法律で定める29.2%まで(グレーゾーン金利)利息を弁済させても良いということになっていた。過酷な取り立てで債務者が自殺に追い込まれるケースなども続発し、大きな社会問題となった。

 しかし、最高裁が2006年1月にグレーゾーン金利を否定し、しかも、過去にグレーゾーン金利を支払った払い過ぎの分(過払い金)を貸金業者に返還請求できるという判決を出したのを機に、グレーゾーン金利を廃止する貸金業法の大改正が行われ、2010年に完全実施された。この法律では貸金業者の融資額が総額で債務者の年収の3分の1を超えてはいけないという総量規制も導入された。その結果、貸金業者の貸出残高は大きく減少し、多重債務者問題は峠を越えた。

■サラ金の追い落としに成功した大手銀行だが……

 サラ金に代わって個人向け融資で大きな役割を果たすことを期待されたのが銀行業界だ。銀行はブラックなイメージのサラ金業者のように悪質な貸し付け、回収をせず、ホワイトイメージで安心・安全と考えられた。だが、ことはそう単純ではない。私は1999年から3年間経産省商務情報政策局の取引信用課長として、クレジットカードや割賦販売ビジネスを所管していたことがある。
 
 そこで目の当たりにしたのはサラ金業界の圧倒的な情報力だった。貸金業の生命線である与信情報の収集管理システムをサラ金業界はしっかりと築いていた。それに比べると、企業融資や住宅ローンをメイン業務とする銀行業界の手法は、不動産担保融資だから、個人信用情報収集力は貧弱で、リスクをとって個人に小金を貸し出すビジネスに本格参入するだけの実力はなかった。

 しかし、現実には、銀行カードローン残高は、11年末の3兆2400億円から5年後の16年末には5兆4377億円と7割近く増加した。どうしてそんなに伸びたのだろう。


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