「難治がん」と闘う新聞記者が、日々からコラムを削り出すのに支えにしていること
連載「書かずに死ねるか――『難治がん』と闘う記者」
書かずに死ねるか――「難治がん」と闘う記者
がん患者というレンズを通すことで、新たに見えるようになったことばかりではない。昔は見えたはずなのに、ということもある。たとえば政治家の言葉や振る舞いだ。同僚の取材メモを読んでも、憤るべきことより、そうした行動の奥底にある人間のもろさに目が向くことが増えた。自分と同じじゃないか。そう感じることもある。
そんな人間が書いたものが、どれほど役に立つかはわからない。だが私にとっては、読んでくださる方がいることは心の支えであり、病気にまつわる様々な厄介ごとをしのいでいくための力になっている。
だから、連載を始めるにあたり、厚かましいけれどお願いしたいことがある。
もしよければ、ちょっとの間、肩を貸してください。
野上祐
野上祐(のがみ・ゆう)/1972年生まれ。96年に朝日新聞に入り、仙台支局、沼津支局、名古屋社会部を経て政治部に。福島総局で次長(デスク)として働いていた2016年1月、がんの疑いを指摘され、翌月手術。現在は闘病中
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野上祐
野上祐(のがみ・ゆう)/1972年生まれ。96年に朝日新聞に入り、仙台支局、沼津支局、名古屋社会部を経て政治部に。福島総局で次長(デスク)として働いていた2016年1月、がんの疑いを指摘され、翌月手術。現在は闘病中