赤がこれほど注目されるのは、1980年代のバブル期以来だろう(※写真はイメージ)
赤がこれほど注目されるのは、1980年代のバブル期以来だろう(※写真はイメージ)

 今年の秋冬ファッションは「赤」が流行しそうだ。赤といえば“可愛いらしい女性”のイメージがあるが、今シーズンは知的で大人っぽいものが多い。その理由として、テロ、排外主義などの社会不安をはねのけるような“力強さ”が求められているからだと分析されている。女性向け健康・ライフスタイル誌『ゆとりら 夏号』からお届けする。

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 今年の秋冬に流行しそうなファッショントレンドは、ひと言でいえば「赤」。ライフスタイルや価値観の多様化を反映してか、以前よりもトレンドが細分化されているなかで、多くのブランドがメインカラーとして提案している。

 赤といっても、今年は濁りの少ない鮮やかな色みが多い。前シーズンの甘くて可愛らしい雰囲気の女性像から一転して、知的で大人っぽい女性へと変わっている。世界各地で急
増しているテロや地球の温暖化、難民などの問題による社会的な不安をはねのけるような、強さや緊張感も感じさせる。強烈な赤はそういうイメージの象徴といえよう。

 なかでも赤を多用したのは、82歳のいまも「モードの帝王」としての威光を放つジョルジオ・アルマーニ。丈の長い優雅なモヘアのコートからスポーティーなブルゾン、毛皮のコートに合わせたマスキュリンなつなぎも、りりしく冴えたルビーレッドに染めあげた。

 毛皮のポンポンや新型バッグで人気復活中のフェンディは、輝く発色の革製スカートや極薄シフォンのブラウスが真っ赤。ロングブーツやバッグ、耳飾りまで全身を赤で統一しながら、きりっとした装いをみせた。一昨年から30代の女性デザイナーが手掛けるエルメスも、若々しさが漂う澄んだ赤がいっぱい。日本発のミナペルホネンの新作は、すべて「火と花の赤」からの発想。デザイナーの皆川明は「世界情勢を考えると今、暖かく、かつ情熱的なものが必要ではないかと思って」と説明した。「英国調」もトレンドの一つ。マルタン・マルジェラのように、タータンチェックやツイードに赤をより強調して採り入れるブランドも多い。

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