まず1着目は、無難に浸りきっていた彼女の中の殻を破るような強烈な一枚をご用意しました。上質なレースの白いワンピースです。ノースリーブでゆるやかなタイトフィットが女性らしい「ANAYI」のワンピースは、身体のラインを美しく見せるカッティングが特徴。緻密に計算された完璧な一着で、人を虜にさせるようなオーラがあります。

 この服を由希子さんに渡した時、「え~、これ着るんですか?」と予想通り不安げな顔。けれども、試着室に押し込みました。

 そして3分後――。まるで別人の由希子さんが現れました。

 私は白いレースのワンピースを着ただけの少し手持ちぶさたな由希子さんに、小ぶりのバッグを持たせ、店内を一周するよう促しました。さらにレモン色のカーディガンをコーディネートし、いくつかポーズを決めてもらって写真に収め、彼女に見せました。

 さまざまな方向から写された自分の姿に驚きながら、ちょっぴり瞳が潤んで輝き、頬にぽーっと赤みがさしていくのを私は見逃してはいませんでした。

「衝撃的です。自分では白なんて恐れ多くて絶対に選ばないし、総レースの洋服なんて恥ずかしくて着られないと思っていましたし。スコールが降って、パーッと晴れたような、そんな感じがしました」
 
 2着目はデートの場面を想定して、「COUP DE CHANCE」の淡いピンクのワンピースを選びました。柔らかく、胸元からウエストまわりにかけてきれいなドレープがデザインされているのが特徴です。

 そして2着目を着た由希子さんは鏡の前で自然にポーズを決め、かすかに色っぽい表情が浮かび始めていました。

「私、着こなせてますか? こんな服、選んだことないけど、コレ、本当に素敵です」

 否定の言葉しかなかった由希子さんの口から、「コレ、本当に素敵です」の一言。これこそが運命の洋服に出会うことの喜びなのです。

 3着目は、写真写り、顔映りともに良いものを意識しました。そこで、着ただけでパッと華やぐような、「LIMITED EDITION VIVAYOU」のピンクオレンジのワンピースを選びました。少し高めのウエスト位置にパイピングが施してあり、光沢のある織りが顔を艶やかに見せてくれます。婚活写真といえば、紺や白のブラウスを着る人が多いもの。ですが、特に婚活サイトのプロフィール写真においては、その他大勢が着ているような服を選んではいけません。なぜなら、たくさんの写真が並ぶなか、自分も「その他大勢」となってしまい、誰の目にも留まらない人になってしまうからです。

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