「治療の最初と最後に必ずあいさつしますよ。治療後に歯科衛生士にバトンタッチしたあとでも、お帰りになる前に『大丈夫でしたか? お大事にしてください』と言ってお見送りするのは礼儀だと思っています」(若林歯科医師)

 倉治歯科医師は「若い歯科医師のほうが、実はマナーがいいんですよ」と話します。その背景には、2005年から本格的に導入された客観的臨床能力試験(OSCE/オスキー)があると言います。

「歯科大学生は、臨床実習に入る前にOSCEに合格しなければいけません。ここで診療の技能や態度、マナーなどを厳しく審査されるのです。さっとマスクを外して患者さんに名札を示し、丁寧に自己紹介する若い研修医の姿には感激します。礼儀正しい歯科医師はどんどん増えていくでしょう」

 患者と歯科医師が向き合って話す場として、カウンセリングルームを持つ歯科医院も増えています。「初診のときや、必要なときにはカウンセリングルームで向かい合い、今後の治療方針を話し合う」と言うのは、若林歯科医師です。

「初診時には問診票とX線の画像を見ながら具体的な治療内容を説明します。この時点で保険診療と自費診療の違いを説明し、値段についても話します。治療が始まる前に疑問や不安を解消して、納得して治療方法を選択してもらうことで、その後の関係もよいものになると思っています」

<答えてくれた歯科医師>
若林歯科医院 院長 若林健史(わかばやしけんじ) 歯科医師
千駄木あおば歯科 院長 谷田部優(やたべまさる) 歯科医師
クラジ歯科医院 院長 倉治(くらじ)ななえ 歯科医師

(取材・文/神素子)