そしてバックラインが安定していることで、サイドからのクロスや一発の裏へのパスなど、攻撃もリズムを生み出しやすい。今シーズンはMLS(アメリカ・メジャーリーグサッカー)から戻ったFW工藤壮人は最前線で、佐藤寿人(現名古屋グランパス)以上の得点力が期待される。工藤はボールを呼び込む才覚に長け、仕留める能力も申し分ないだけに、優勝=得点王になっている可能性もある。

 そして鳥栖は、マッシモ・フィッカデンティ監督のイタリア戦術が浸透。開幕前に水原三星(韓国)を2-1で下すなど、昨季のベースにめどが立った。新戦力はまだアジャストしていないが、徐々に噛み合ってくるのではないか。エース、豊田陽平のゴールは戦術シャフトになるだろう。

 ちなみに横浜FMは順位的には厳しい予想だが、齋藤学はJリーグを牽引する存在だ。世界標準を感じさせる数少ないJリーガーで、必見。また、富樫敬真もストライカーとして大化けする可能性を秘めている。

 そして下位の予想。

16位:アルビレックス新潟
17位:ヴァンフォーレ甲府
18位:北海道コンサドーレ札幌

 新潟、甲府、札幌の3チームは苦しむのではないか。札幌はJ2を見た限り、J1ではボールを握る力が弱すぎる。

 甲府は人海戦術の粘りで降格を回避してきたが、それが身についているだけに、変革の道は険しいだろう。昨シーズンに降格ゾーンを彷徨った新潟は主力が抜け、上位に予想する理由が見つからない。

 順位を予想したが、これが正解でも不正解でもないことに、フットボールの娯楽性はあるのだろう。(文=スポーツライター・小宮良之)