オマーン戦とサウジアラビア戦で、“チームの顔”に世代交代の波が押し寄せていることに対し、これまで主力だった選手が意地を見せた格好だ。本田はオマーン戦後に「サウジ戦は勝たなければいけないのは誰が試合に出ても同じ。少なくとも自分はスタメンで出る準備はしている」と話していた。ゴールこそ奪えなかったが、追加点に絡むことで存在をアピールしたと言えるだろう。

 そして、このフレッシュな選手とベテランとの併用こそが、「海外組の80パーセントがクラブでプレーしていない」(ハリルホジッチ監督)ため、コンディションの上がらない現状を打破する妥協策でもある。64分で退いた清武について、「交代は前もった予定だし、試合中のケガもあった。1カ月クラブで試合に出ていないので60分しか持たない」と評したが、それは本田や香川、岡崎も同じ状況に位置付けられている。

 W杯予選はこれでひと段落となり、来年の3月まで中断期間に入る。そして1月には移籍のマーケットが開く。ハリルホジッチ監督は「川島(永嗣)、本田、香川、岡崎にはチームで難しい状況が続いているので、スタメンを取れ、もしくはスタメンで出られるクラブを探せと伝えた」そうだ。果たして彼らが新天地を見つけることができるのか。それが実現しない限り、ハリル・ジャパンはいつも選手交代を余儀なくされる、綱渡りの試合が続くことにもなる。(文=サッカージャーナリスト・六川亨)