錦織圭(右から2番目)に続く存在として期待されるダニエル太郎(右端)と西岡良仁(左端)。(写真:Getty Images)
錦織圭(右から2番目)に続く存在として期待されるダニエル太郎(右端)と西岡良仁(左端)。(写真:Getty Images)

 20cm以上の身長差が、2人が並ぶとまず目につく。片や軽くウェーブした髪を肩まで伸ばし、もう一人は短く切り揃えていることが多い。

 ダニエル太郎と、西岡良仁。見た目は対照的なこの両者に共通しているのは、彼らがいずれも、日本男子テニスの次代を担う存在だということだ。

 1993年1月27日生まれのダニエルは現在23歳で、西岡は1995年9月27日生まれの21歳。年齢では2歳半の開きがあるが、その成長の足跡はことごとく符合し、また互いに互いを意識し高め合ってきた感がある。2人が世界のテニス界に最初に大きな足跡を残したのは、2014年の全米オープン。予選から参戦した両選手は、いずれもタフな3試合を勝ち上がり、本選の舞台へと這いあがった。

「みんなで勝ち上がって、まるでデビスカップ(国別対抗戦)みたいな雰囲気だった」

 13歳でスペインに移住したため日本人選手との交流が少なかった当時のダニエルは、仲間もしくはライバルの存在が自分を押し上げてくれたことを嬉しそうに語っていた。

 その翌年の全仏オープンでも、2人揃って予選を勝ち上がり本選出場。その後はダニエルが、11月に日本で開催されたATPチャレンジャー(ツアーの下部レベル大会)2大会で準優勝と優勝の好成績を収めて、一気にトップ100入りを果たす。すると、ダニエルの躍進に「年齢は3歳離れているけれど、ライバルだと思っているし尊敬もしている」と奮起した西岡が、11月末に豊田市開催のチャレンジャーで優勝。今年は2人揃って100位前後のランキングを維持し、チャレンジャーのみならず、ATPマスターズ1000などの大舞台でも結果を残してきた。

 このように似た成長曲線を見せる両選手だが、性格やプレースタイル、さらには大会へのアプローチ方法も大きく異なっている。

 オフコートでは柔らかく悠揚とした空気をまとうダニエルは、「焦る」ことを何より嫌がる若者だ。出場トーナメントの選択にしても、一か八かのギャンブル的な選び方は好まない。そのことが最も顕著に現れたのが、今年8月の全米オープン予選欠場である。誰もが憧れるグランドスラムの大舞台に出るチャンスを失う代わりに、彼は同時期に欧州で開催されるチャレンジャーを転戦。果たして狙い通りにランキングポイントを着実に積み重ね、8月中旬の時点では120位だったランキングを、再び100位以内に戻してみせた。

次のページ