実は炉端焼きには釧路発祥説もあるのだが、どうやら仙台の「炉ばた」で働いていた弟子が北海道に戻り、同じく「炉ばた」というお店を開店。野菜しか出さなかった仙台の「炉ばた」とは違い、地元、釧路港で揚がる魚介類も焼いて出すようになった。この釧路の「炉ばた」のメニューを踏襲した形で、日本各地に炉端焼きの店が広がったというのが有力な説のようだ。

 ちなみに仙台の「炉ばた」は、ビルの1階に移転して今でも営業中だという。ただし、店内はいろりを囲んだ造りだが、炉端焼きのお店ではないのだとか。長いしゃもじで運んでくれるのはお酒だけなので、炉端焼きを期待して訪れないよう注意したい。

 お次に紹介するのはなんと、「ハンバーガー」。といっても、ハンバーガーはもともとアメリカの食べ物なので、正確には“発祥”ではない。しかも、「佐世保バーガー」で有名な佐世保の方が先だという説もある。しかし、それでも仙台がハンバーガー発祥の地だというのには、理由がある。

 仙台市内に今もある「ほそやのサンド」では、1950年の創業当時からハンバーガーを販売していた。一方、佐世保でも、1950年頃にハンバーガーが誕生したと言われているが、どの店が作っていたのかなど、記録が残っていない。少なからず「ほそのやサンド」が、日本に現存する最古のハンバーガー屋であるのは間違いなく、“発祥の店”を名乗るに足る歴史を有していることは事実といえよう。

 仙台発祥ものは、仙台市民にも意外に知られていないのだという。シルバーウィークに仙台旅行を計画中の人は、ぜひ仙台発祥の味を堪能してみてはいかがだろうか。