俳優・田辺誠一さん
俳優・田辺誠一さん

 オーストラリアの離島・タスマニアは、その自然の美しさから「世界一ピュア」な島と呼ばれている。俳優の田辺誠一さんがタスマニアの大自然と出会い、感じたものとは……。

 BS朝日「ネイチャードキュメント 奇跡の地球紀行 田辺誠一が旅する世界遺産タスマニア4つの奇跡~太古の自然と固有の動物の秘密~」(5月9日18時54分~)で、田辺さんが初めてタスマニアを訪れ、その魅力を探っていく。

 タスマニアの自然を身近に感じられる場所の一つが、クレイドル・マウンテン国立公園にあるデビルズ・アット・クレイドル。ここでは、タスマニアデビルが野生に近い状態で飼育されている。訪れた田辺さんは、そのかわいらしい姿に見入っていたが、実はタスマニアデビルには恐ろしい身体的特徴もある。口の中には鋭い牙が隠されており、アゴの力は体重比でみると地球でもトップクラスの強さなのだ。

 そんなタスマニアデビルの生態に興味を抱きながら、おもむろにタブレットを取り出す田辺さん。実は田辺さんの趣味のひとつは、絵を描くこと。味のあるイラストは、ネットでも話題になるほどだ。タブレットに描き始めるとわずか1分で「できました」。

「実物を目の前にして描けるのはすごくぜいたくです。(作品の名前は)タスマニアデビルです(笑)。肉食であることをすごく強調して描きました」(田辺さん)

 田辺画伯の作品は、ぜひ番組で確かめていただきたい。

 続いて田辺さんが向かったのが、マウントフィールド国立公園。ここで待ち合わせをしたのが、写真家の相原正明さんだ。15年以上この地で自然を撮影してきた相原さんが今回案内するのは、相原さん自身の人生を変えたというある場所だ。

 公園内の大平原・ダーヴェント・バレーを歩くこと1時間。たどり着いたのは、相原さんが「マザー・ツリー」と呼ぶ、1本の白い枯れ木だ。相原さんはそれまで、岩石や砂漠など、ダイナミックな風景を撮る写真家だったが、マザー・ツリーに出合ってから作風が一変。その背景には、この木を通じた不思議な体験があった。

「この木の正面に来た時、枝が『おいで』と呼んでいるような感じがして。ひょっとしたらこの木に呼ばれて来たのかな、と。それから1週間、こんなにいいショットって毎日撮れるのかなって言うくらい、奇跡が起きたように撮れて。この木は葉っぱもないし、花もつかない。この木自体は変化しないんですが、代わりに周りの空や空気の変化を通じて、地球のポートレートを撮っていきたいなと」(相原さん)

 それを機に「人生の方針が変わった」という相原さん。現在は地球をひとつの生命体として見て、地球のポートレート(肖像)を撮影していると言う。そしてこの話を聞いた田辺さんは、自身の役者業と重ねて、次のような感想を漏らした。

「子どもの時、自分が何を感じ、どう思うとかということにフタをされて、みんな同じ、出っ張らない教育をされる。でもそうすると周りの情報や意見に左右されてしまう。相原さんが言っていた、『この木に呼ばれた』というような感覚は、本来みんな持っているもの。役者の仕事はフタをされてきたものを、お芝居を通してひとつひとつ解放していくこと。こういったものから何かを感じるのは、なるほどな、という感じですね」(田辺さん)

 番組ではこの他にもさまざまな表情をみせるタスマニアの自然や、氷河によって削られた山・クレイドル・マウンテンなども登場する。田辺さんが大自然をどのように感じていくのか、番組で確かめていただきたい。