もう日本にも潜んでいる? イスラム過激派「新世代」の脅威 (2/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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もう日本にも潜んでいる? イスラム過激派「新世代」の脅威

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イスラム過激派武装グループ派の系譜は1928年に遡る。現在、世界各地に組織が点在しているが、アルカイダは多国にまたがり展開している(『イスラム国の正体』国枝昌樹著(朝日新聞出版)より)

イスラム過激派武装グループ派の系譜は1928年に遡る。現在、世界各地に組織が点在しているが、アルカイダは多国にまたがり展開している(『イスラム国の正体』国枝昌樹著(朝日新聞出版)より)

両者の決裂のきっかけはシリア問題にある。現在、シリア内ではアルカイダ系のヌスラ戦線とイスラム国が(一部では)抗戦している(『イスラム国の正体』国枝昌樹著(朝日新聞出版)より)

両者の決裂のきっかけはシリア問題にある。現在、シリア内ではアルカイダ系のヌスラ戦線とイスラム国が(一部では)抗戦している(『イスラム国の正体』国枝昌樹著(朝日新聞出版)より)

各国からイスラム国へ参加する外国人数(『イスラム国の正体』国枝昌樹著(朝日新聞出版)より)

各国からイスラム国へ参加する外国人数(『イスラム国の正体』国枝昌樹著(朝日新聞出版)より)


「フランスは植民地帝国として隆盛を誇った18、19、20世紀前半の負の遺産に悩まされています。植民地帝国としての歴史を十分に精算できず、被植民地との歴史的関係の再構築に正面から向き合って来なかった現実がこの事件の根底にあるのです。収奪された被植民地からフランスに来た人々が、形式的には自由、博愛、平等といわれる社会の中で種々の差別を受けながら人生を送る。そこで彼らが存在を示そうとしても、手段がない。そのため、自己破滅的な道をたどる場合には、弱者は暴力をもってエスタブリッシュメントに対抗する道を取る。しかも、フランスに移住して来た人々はフランスでの差別と同時に、祖国・戻るべき故郷が喪失状態にある。つまり故郷の人々との関係が疎遠になっている場合が多く、孤立感を深めているのです」

 事実、シェリフ、クリバリ容疑者の出会いは刑務所内といわれている。

「クリバリ容疑者は複数回犯罪を重ね服役しています。彼はフランス・コカ・コーラ社の工場で見習い従業員をしていた2009年に、当時のサルコジ大統領と若者グループの一員として会見しました。その会見のあとで彼は『大統領の引きで仕事に就けたらなあ……』と、生活への不安を語り希望を口にしましたが、翌年再び犯罪に手を染めます。彼もクアシ容疑者たちも刑務所内でイスラム過激派の道を歩み始めたといわれます。フランスの刑務所には多くのイスラム主義者たちが収容されており、服役中にイスラム過激派に感化されて出所後にイスラム国などの過激派グループに参加する例は少なくありません」

 欧米人人質の首切り動画などで、2014年から世界騒がせているイスラム国には、世界中から戦闘員が参加し、フランスからは700人ともいわれている。左図では43カ国だが、国籍は80カ国以上にのぼるとするデータもある。ヨーロッパから参加する戦闘員は、このような移民第二、第三世代が多い。そして、いずれ訓練を受けた彼らが国(ヨーロッパ)に帰る日は来る。フランスでは既に帰国した者は、参加予備段階の人々も入れれば、1000人以上にのぼるといわれている。イスラム国の「領土」が軍事的に敗れる日はいずれ訪れると思われるが、このような思想・戦闘技術は綿々とつながり、それこそが各国の脅威となっているのである。

 それは、ヨーロッパに比べイスラム教国と歴史的、地理的つながりの薄い日本も決して例外ではないのである。


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