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バブル時代の小泉今日子は過剰に異常だったか(中)

助川幸逸郎dot.#小泉今日子になる方法

アクターズ・ファイル 永瀬正敏

永瀬正敏著/キネマ旬報社編集

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 これまで体験したことがないことや、まったく想像もできないこと――そうした「わからないこと」が関わってくる要求や教えを無視していては、いつまでも成長できません。とはいえ、すべてのアドヴァイスを受けいれていたら、混乱に陥るのは必至です。矛盾する提案を一度にされたり、自分に不向きなことを勧められたりすることもあるからです。

 デビュー直後の小泉今日子は、「分からないことには意見も言えないから」、1年間「様子を見て」いたと言っています。そして、現在の路線にはなじめないと見きわめがついたところで、イメチェンを申し出たわけです。

「『わからないこと』を持ちかけられたときには、とりあえず言われたとおりにする。その結果、自分に向かないと見きわめがついたらキッパリ拒絶する」

これが、「わからないこと」をするように求められた場合の小泉今日子の方針です。芸能界入りした段階で、このやり方は確立されていました。

プロ野球の巨人軍で長年コーチやスカウトをつとめた上田武司は言っています。

<プロ野球選手に必要な素直さは、聴く耳を持っていることに置き換えられます。まわりのコーチや先輩選手が話す精神論から技術論まで、耳を傾けられる柔軟さがあり、そのなかから自分に当てはまるものを取捨選択できる判断力があるかどうかでしょう>(注4)

 他者からの提言を受けいれられる素直さと、勧められたことにどこまで従うかの判断力をあわせ持つこと。分野にかかわらず、成功への秘訣はそこにあります。小泉今日子は、この点において際立っていました。

※バブル時代の小泉今日子は過剰に異常だったか(下)につづく


※助川幸逸郎氏の連載「小泉今日子になる方法」をまとめた『小泉今日子はなぜいつも旬なのか』(朝日新書)が発売されました

注1 藤吉雅春「小泉今日子と80年代アイドルの祭典」(週刊文春 2013年8月15-22日号)
注2 注2に同じ
注3 「阿川佐和子のこの人に会いたい」連載371(週刊文春 2001年1月25日号)
注4 上田武司『プロ野球スカウトが教える 一流になる選手消える選手』(祥伝社黄金文庫 2010年)

助川 幸逸郎(すけがわ・こういちろう)
1967年生まれ。著述家・日本文学研究者。横浜市立大学・東海大学などで非常勤講師。文学、映画、ファッションといった多様なコンテンツを、斬新な切り口で相互に関わらせ、前例のないタイプの著述・講演活動を展開している。主な著書に『文学理論の冒険』(東海大学出版会)、『光源氏になってはいけない』『謎の村上春樹』(以上、プレジデント社)など


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