館内には高倉さんのモノクロのブロマイドがずらりと並び、上映の前後に買い求める人も。
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館内には高倉さんのモノクロのブロマイドがずらりと並び、上映の前後に買い求める人も。

 先月10日に亡くなった俳優・高倉健さんをしのぶ追悼上映会が6日、東京・丸の内TOEIで始まった。高倉さんの代表作を一週間交代で上映するもので、最初の一週間を飾るのは、石井輝男監督「網走番外地」(1965年)。上映30分前の開場時間には20人ほどが列を作り、映画の終幕では自然と拍手がわきおこった。映画館は健さんファンの熱い思いで満たされた。(週刊朝日・岡本なるみ)

 「網走番外地」は、東映のこの人気シリーズの第一作。網走の雄大な大地を舞台に、高倉さんが刑務所の脱獄囚を演じるアクション映画。暴走するトロッコで逃走したり、列車の車輪で手錠の鎖を切ったりと、迫力のある場面が続く。一方、刑務所内での人間模様や、囚人の母親への思いなども描かれる。高倉さんが歌う同名の主題歌は、当時ミリオンセラーとなって映画とともに大ヒットした。

 長年高倉さんのファンだったという東京在住の小川知道さん(62)は、「懐かしくて見に来ました。家にビデオもあるけれど大きな画面で見るとやはり違いますね」とあふれる思いを語った。「自らの19、20の頃の思い出が詰まっているというか、映画を見ていると子どもに帰ったような気がした。私はね、高倉さんは哲学者だと思ってるんです。男の本性を隠して突っ張るという、彼の生き様、人間性に惚れていました。『あなたへ』から2年、スターのまま亡くなりましたね。車いすや点滴している姿なんか見せたくなかったんでしょう」。

 亡くなった兄が高倉さんのファンだったという栗原誠治さん(53)は、「今日は兄の代わりに来ました」。「任俠映画、初めて観たんです。人間ドラマなんですね。最後はじーんとしました。私自身は松田優作さんのファンで、『ブラックレイン』で高倉さんを見て、オーラのある俳優さんだと思った。優作さんも健さんも、こうして映像の中に生きているんですね」と話した。
 追悼上映会は、連日午前10時半開映。来年1月まで6週連続で続く予定だ。料金は1000円。館内では高倉さんのモノクロのブロマイドや、週刊朝日臨時増刊「追悼 高倉健」なども販売されている。

【関連情報】
高倉健 追悼上映会

東京・丸の内TOEI 
12/6(土)~12/12(金) 『網走番外地』(1965年)
12/13(土)~12/19(金) 『新網走番外地 嵐呼ぶダンプ仁義』(1972年)
12/20(土)~12/26(金) 『昭和残侠伝 唐獅子牡丹』(1966年)
12/27(土)~1/2(金) 『冬の華』(1978年)
1/3(土)~1/9(金) 『動乱』(1980年)
1/10(土)~(未定) 『鉄道員(ぽっぽや)』(1999年)

梅田ブルク
12/27(土)~12/31(水) 『網走番外地』(1965年)
1/1(木、祝)~1/4(日)『鉄道員(ぽっぽや)』(1999年)
1/5(月)~1/8(木)『日本侠客伝 花と龍』(1969年)
1/9(金)~1/12(月・祝)『昭和残侠伝 唐獅子牡丹』(1968年)

T・ジョイ京都
12/27(土)~12/31(水) 『冬の華』(1978年)
1/1(木、祝)~1/4(日)『動乱』(1980年)
1/5(月)~1/8(木)『新網走番外地 嵐呼ぶダンプ仁義』(1972年)
1/9(金)~1/12(月・祝)『鉄道員(ぽっぽや)』(1999年)

ほか、T・ジョイ博多、札幌プラザ2・5でも開催
http://www.toei.co.jp/release/movie/1204519_979.html

11月28日に亡くなった菅原文太さんの追悼上映会も、来年1月から渋谷TOEIで開催
http://www.toei.co.jp/release/movie/1204729_979.html