2014年2月7日から開催されるソチオリンピック。冬のオリンピックでメダルを期待される競技のひとつが、フィギュアスケートです。浅田真央選手がソチオリンピックを機に引退の意向を明らかにしたことでも注目を浴びています。

 フィギュアスケートは今や人気の競技となりましたが、どのような点数の付け方をしているのか、どのようにジャンプを見分けているのか等、素人にとっては難しいのも事実。さらに、演技を終えてから点数が出るのを待つために座る場所であるキス&クライでは、それぞれのコーチと選手がどんな会話を交わしているのかということについても気になるところです。

 2006年に開催されたトリノオリンピックで見事金メダルを獲得した荒川静香さんは、著書『誰も知らなかった 知って感じるフィギュアスケート観戦術』の中で自身の体験を踏まえた上で、フィギュアスケートについて解説しています。

 荒川さんは、フィギュアスケートでジャッジが判断しているポイントを「体重の乗っていないほうの足、いわゆるフリーレッグの足さばき」とし、その足のつま先まで神経が行き届いている細かい点を見ているのだといいます。一見ダイナミックな技や感情のこもった演技に惹かれがちではありますが、そうした細かい部分こそが、高得点のポイントなのだそうです。

 また、フィギュアスケートでのジャンプは、ループ・サルコウ・トウループ・アクセル・ルッツ・フリップの6種類。全てジャンプの踏み切り方によって、その技が決まります。本書には分かりやすい図解付きで掲載されているため、これを頭に入れておくだけで、より面白く観戦ができるはず。

 最後に、演技を終えてから点数が出るまで座る場所のキス&クライでのドラマも見所です。選手とコーチの会話を音声が拾いあげることはありませんが、彼らは直前の演技についての映像を見ながら話し合っているそうです。そもそも、キス&クライという名前が付いた理由を「出てきた点数を見て選手とコーチや振付師がキスやハグを交わしたり、嬉し涙、悔し涙を流したりするので、そう呼ばれるようになったのでしょう」と解説します。それぞれの演技の点数によって選手達とコーチ達の会話が違うため、毎回ちょっとしたドラマが繰り広げられているといいます。

 「いずれもそれぞれ、選手の性格、個性が垣間見える場面の一つ」と語る荒川さん自身も、トリノオリンピックでのキス&クライでは笑顔を見せてガッツポーズをしていたことも懐かしいです。

 技や評価基準、裏に隠されているドラマを知れば、いつものフィギュアスケートも一歩踏み込んで観戦することができるのではないでしょうか。今年のソチオリンピックフィギュアスケートで、女神にキスをされる選手は一体誰なのか、楽しみなところです。