第1207回 えっへん ぼくは「名犬エレナ号」

2016/12/22 10:30

 今年、雪国・秋田の厳冬2月、日の暮れた後のこと。ぼく、ゴールデンレトリバーのエレナ(写真、雄、10歳)は、お散歩の帰り道、ママと一緒に坂を上っていました。その坂は急な上に凍っていて、滑って危ないので、地元の人はほとんど使いません。
 ぼくはその坂道で知らないおじさんが倒れているのを見つけ、いつも人を見つけるとそうするように、頭を撫でてもらおうと、寄って行きました。
 ぼくの顔がおじさんの顔に近づくと、おじさんは「ああ」とうめきました。文字どおり真っ暗だったので、ママはどうやらその声を聞いて初めて人が倒れているのに気付いたみたい。ママが「大丈夫ですか」と声を掛けると、「大丈夫です」とおじさん。重ねて「人を呼びますか」と尋ねると、おじさんはまた、「大丈夫です」。でも、動かない。
 ママは少しの間おじさんを見て迷っていたようだけど、思い切ったみたいに坂からすぐのおうちに帰り、おじいちゃんとおばあちゃんに出来事を話しました。
 おばあちゃんは、防寒服に懐中電灯と携帯電話の完全装備ですぐに出掛けて行きました。あとからおじいちゃんも坂に向かいました。
 ぼくは、おじさんどうなったかな、と思いながら、暖かいおうちでご飯を食べていました。おじいちゃんとおばあちゃんはしばらく帰らず、そのうち救急車のサイレンの音がしました。
 何日も過ぎてから、おじさんの奥さんが菓子折りを持って訪ねて来て、おじさんは脚を複雑骨折していて、もしぼくが気付かなかったら、誰にも気付かれずに一晩あそこに倒れていて、多分凍死していただろう、ってことがわかりました。
 そんなわけでぼくはその日、おじいちゃんから「名犬エレナ号」と命名されました。えっへん。

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