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第38回 思いっきり泣く

文・大谷由里子

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マンガ/上大岡トメ

マンガ/上大岡トメ

 だから、時々思う。

「思いっきり、切ない恋がしたい」

「思いっきり、泣いてみたい」

 でも、一方で、

「今さら、そんな恋をしている場合じゃないよなあ」

「思いっきり泣くほどの不幸は嫌だよなあ」

 という声がささやく。

 だから、真剣に恋して悩んで泣けるメンバーを「うらやましいな」と、思うことがある。

 それでも、心のどこかで、

「感動して涙を流さない自分になりたくない」

 と、ひとりでこっそり思いっきり泣けそうな本を読んでみたり、DVDを見たりしているわたしがいる。

 そして、泣いた後は、やっぱりスッキリしている自分がいたりする。

 先日、雑誌社の友達と話していて、「泣く」という話題になった。

「ぜったい泣ける本」や「胸がキュンとするする瞬間」などの特集が、中高年に好評らしい。

 なんかわかる気がした。

 泣いたり、キュンとすると若返っていく気分になれる。

 そして、今、わたしがはまっているのが、漫画。

 おとなになって、しばらく遠ざかっていたけれど、かつて読んだ漫画、やっぱり泣ける。

 胸もキュンとする。

「わたしだけかなあ」

 と、思っていたら、「マーガレット展」などは、中高年のお客さんも多く、そこに来た人は、昔読んだ漫画を大人買いするらしい。

 昔読んだ漫画を再び読み直して、かつての気持ちを取り戻す。

 わたしだじゃなかった。

 泣くだけ泣くと、若返った気になる。そして、なんだかわからないけれど、

「わたし、まだこんな気持ちになれるんだ」

「こんな感情が残っていたんだ」

 と、嬉しくなってくる。


(更新 2015/11/10 )


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プロフィール

大谷由里子(おおたに・ゆりこ)

 1963年奈良県生まれ。京都ノートルダム女子大学を卒業後、吉本興業に入社。故・横山やすし氏のマネージャーを務め、宮川大助・花子、若井こずえ・みどりなどを売りだし注目を集める。2003年、研修会社の志縁塾を設立。「笑い」を取り入れた「人材育成研修」は、NHKスペシャルなど多くのメディアで話題となっている。 現在は、年間300を超える講演・研修をプロデュース中。主な著書に『仕事で大事なルールは吉本興業で学んだ』(こう書房)、『はじめて講師を頼まれたら読む本』(中経出版)など多数。

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