【米ビルボード・アルバム・チャート】キャリー・アンダーウッドが4作目の首位、女性カントリー・シンガーとして初の快挙
【米ビルボード・アルバム・チャート】キャリー・アンダーウッドが4作目の首位、女性カントリー・シンガーとして初の快挙

 カントリー・シンガー、キャリー・アンダーウッドの新作『クライ・プリティ』が堂々のNo.1デビューを飾った、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。

 2015年10月にリリースした前作『ストーリーテラー』から3年振り、6枚目のスタジオ・アルバムとなる本作で、通算4作目となる全米1位を獲得したキャリー。また、カントリー・アルバム・チャートでは、デビュー・アルバム『サム・ハーツ』(2005年)から6作連続の首位獲得を果たしている。

 これにより、Billboard 200(総合)で1位を獲得した作品を4作に更新。女性カントリー・シンガーとしては初の快挙で、これまではリンダ・ロンシュタット、フェイス・ヒル、テイラー・スウィフトとのタイ(3作)だったが、単独首位に浮上した。カントリー・アルバム・チャートと両チャートで1位を獲得したのは、『クライ・プリティ』の他、『カーニバル・ライド』(2007年)、『プレイ・オン』(2009年)、『ブローン・アウェイ』(2012年)がある。 

 本作の初動ユニット数は266,000で、そのうち、アルバムの純粋な売上枚数が251,000枚、ストリーミングによるみなし売上が15,000枚と、そのほとんどがセールス・ポイントによるものだった。2018年にリリースされたアルバムの内、女性アーティストの記録としては、カーディ・Bの『インベージョン・オブ・プライバシー』が初週(4月21日付)に記録した255,000ユニットを上回る、最大の初動ユニット数。2018年度(2017年12月1日~)としては、テイラー・スウィフトの『レピュテーション』(2017年12月2日付)が記録した、1,238,000ユニットに次ぐ2番目に高い数字となる。テイラーも、以前はカントリー・シンガーとして認識されていたが、本作『レピュテーション』と前作『1989』(2014年)は、ポップ・アルバムとしてカテゴライズされているため、キャリーの記録(4作)を超えていない。

 Billboard 200は、2014年12月よりストリーミング・ポイントが加算されるようになったが、このチャート改正以来、女性カントリー・アーティストとしては、最大の初動ユニット数となる。また、カントリー・シンガーとしては、ルーク・ブライアンの『キル・ザ・ライツ』(2015年)が獲得した345,000ユニット以来、この3年間では最も高い数字だった。ストリーミングを除くセールス・ポイントとしても、『キル・ザ・ライツ』の320,000枚に次ぐ売上枚数。チャート改正前では、テイラー・スウィフトの『レッド』(2012年)が登場9週目(2013年1月5日付)に記録した276,000枚以来となる、女性アーティスト最大のセールス。

 エミネムの『カミカゼ』は2位をキープ。今週も103,000ユニットを獲得し、登場から3週連続で10万ユニットを突破している。一方、先週エミネムとの接戦を制したポール・マッカートニーの『エジプト・ステーション』は、8位までダウンしている(37,000ユニット)。昨年~今年のチャートアクションをみてみると、ストリーミングが安定しているアーティストは上位に、セールスの強いアーティストは登場翌週に急落する。この傾向からみると、キャリー・アンダーウッドも、次週はランクダウンする可能性が高い。

 今週3位に初登場したのは、米アトランタ出身のラッパー=6LACK(ブラック)の『イースト・アトランタ・ラブ・レター』。2016年11月にリリースしたデビュー・アルバム『フリー・6ブラック』以来2年振り、2作目のスタジオ・アルバムで、前作の最高34位を大きく上回る自己最高位を更新、初のTOP10入りを果たした。初動ユニットは77,000で、アルバムの売上が20,000枚、ストリーミングによるみなし売上が約57,000枚だった。タイトルの通り、ファンや家族に向けたラブレターというコンセプトだそうで、ミーゴスのオフセット、フューチャー、J.コール、カリードなど、豪華ゲストが参加している。

 先週のソング・チャート(9月22日付)で、「イン・マイ・フィーリングズ」が10週目のNo.1獲得を果たしたドレイクの『スコーピオン』は、5位から4位に再浮上(68,000ユニット)、「シッコ・モード」が8位にランクインしているトラヴィス・スコットの『アストロワールド』は7位から5位に(62,000ユニット)、「ベター・ナウ」が4位まで上昇中しているポスト・マローンの『ビアボングズ&ベントレーズ』は8位から6位に(47,000ユニット)、それぞれ上昇。シングルがヒットしているアーティストは、その曲のストリーミング・ポイントがアルバムの売上に加算されるため、上位をキープできる傾向にある。12位から10に再TOP10入りした、ジュース・ワールドの『グッドバイ&グッド・リダンス』もそうだ。

 アリアナ・グランデの『スウィートナー』は、38,000ユニットを獲得して先週の10位から7位に、ニッキー・ミナージュの『クイーン』は36,000ユニットで11位から9位に再ランクインした。今週は新作の登場が少なかったため、ポイントが安定しているアーティストのアルバムが、それぞれランクアップしている。

Text:本家一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは、9月28日以降掲載予定となります。

◎【Billboard 200】トップ10
1位『クライ・プリティ』キャリー・アンダーウッド
2位『カミカゼ』エミネム
3位『イースト・アトランタ・ラブ・レター』6LACK
4位『スコーピオン』ドレイク
5位『アストロワールド』トラヴィス・スコット
6位『ビアボングス&ベントレーズ』ポスト・マローン
7位『スウィートナー』アリアナ・グランデ
8位『エジプト・ステーション』ポール・マッカートニー
9位『クイーン』ニッキー・ミナージュ
10位『グッドバイ&グッド・リダンス』ジュース・ワールド