ツアーバンドにとって、機材車のパンクや燃料切れ、機材の故障などの思わぬ出費は相当な負担だろう。楽器メーカーであるFender(フェンダー)の取締役副社長リチャード・マクドナルドも、19年におよぶワールドミュージック・バンド、モーニングスターのツアーギタリストとしての経験から、「ハイウェイでエンストして、次のギグができるかどうか分からなくなるほど最悪なことはないが、ピカピカで安全な車があれば、気分よく安心して次のギグに行ける」と語る。

 これを踏まえてFenderは、新しいバンドにツアーのサポートをする初の【Fender Accelerator Tour】を発表した。提供するのは、15人乗りのバンやプロモーションおよびマーケティング支援をはじめ、エレキ/アコースティック・ギター、ベース、アンプ、その他アクセサリーなどのFender製品だ。既にNight Terrors of 1927やPriory、Matthew Curry、Marmozets、Deap Vally、Watersなどが、今週から6月にわたる各自のツアーで参加している。

 なお、このようにインディーズバンドの支援をするのはFenderが初めてではない。この4年の間には、コンバース、マウンテンデュー、Sour Patch Kids、インテル、レッドブルなどが未契約の新進バンドに対し、原盤権の制約や所有権にあまり厳しい条件を付けずに無料のレコーディング、ツアー、宿泊施設、ステージ資金を提供している。インディー・ロック・アーティスト達はデジタルに精通する若いファン層を惹きつける傾向にあるため、TV広告に数百万ドルを使う彼らにとっては、わずかな費用でブランドの信用を与えることができるわけだ。

 【Fender Accelerator Tour】はCreative Artists Agencyの一部門“CAA Marketing”との提携により考案され、プロダクション・パートナーであるNCompassとコラボレーションを行う。