宇多田カバーにも参加するKIRINJI 新体制での初ツアー最終日に極上ポップス披露
宇多田カバーにも参加するKIRINJI 新体制での初ツアー最終日に極上ポップス披露

 6人編成のバンドとして生まれ変わったKIRINJIが、11月15日に東京・昭和女子大学 人見記念講堂にて、新体制での初の全国ツアー【KIRINJI TOUR 2014】の最終公演を行った。

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 昨年春に堀込泰行が脱退。その後、堀込高樹(vo,g,)を中心に、田村玄一(pedal steel,steel pan,g,vo)、楠均(vo,dr,per)、千ヶ崎学(b,syn,vo)、コトリンゴ(vo,pf,key)、弓木英梨乃(vo,g,vl)と、シーンで活躍する名うてのミュージシャン5人を新メンバーに迎えて、バンド編成で新たな一歩を踏み出したKIRINJI。

 今年の夏には、新体制では初となるオリジナル・アルバム『11』をリリース。音楽ファンやミュージシャンや業界関係者から絶賛の声が上がり話題を呼んだ。そんな同作を引っさげての今回のツアーでは各地のライブハウスを巡ってきたが、この日の会場である昭和女子大学 人見記念講堂は30年以上の歴史を持つホールだ。

 ツアーでブラッシュアップされたKIRINJIの演奏が、優れた音響設備を誇る会場で堪能できる公演とあって、場内は満員御礼に。舞台セットもラグジュアリーな様相で、サポートミュージシャンに矢野博康(per,manipulation)を加えた7人はそれぞれにドレッシーな衣装を身にまとい、ステージ後方の赤い幕より登場した。


 ライブはアルバム『11』収録の「だれかさんとだれかさんが」よりスタート。前体制時代の人気曲も交えながら、ステージ両サイドにある大型LEDスクリーンやレーザーなどの照明装置を駆使したカラフルな演出のもと、豊潤なサウンドが次々に披露されていく。

 メンバーそれぞれが多彩なミュージシャンということもあり、田村玄一がペダルスティールやスティールパンを奏でて楽曲に彩りを加えていけば、キーボードやアコーディオンを演奏するコトリンゴと、ギターやヴァイオリンを担当する弓木英梨乃がメインボーカルを担当する楽曲もある。また、序盤の「虹を創ろう」では、エヴァーグリーンなサウンドが心地よく広がっていく中、会場中が7色のライティングに彩られていく印象的な演出があり、ハイライトの一つだったといえるだろう。


 中盤には2007年に鈴木亜美に提供した「それもきっとしあわせ」を弓木ボーカルで披露し、続いてミュージックビデオがYouTubeで公開中の「進水式」も。千ヶ崎学と楠均が生み出すダンサブルなビート、リズムに観客も思わず立席して躍り出したアッパーチューンを畳みかけ、「ちょっとヘンな曲が続いたので」と堀込高樹が笑顔を見せると、最後は「ナイーヴな人々」「もしもの時は」と代表曲を続けて本編を鮮やかに締めくくった。

 その後はアンコールにも応じ、TVCMソングに起用された田村玄一のオリジナル楽曲「Ripples」や人気曲「絶交」など、2時間45分に及んだぜいたくな音楽体験を届けた彼ら。観衆からは総立ちのスタンディングオベーションが贈られたが、これほど極上のポップスを堪能できる場はそう無いことを思えば、そうした反応も決して大袈裟ではないだろう。


 なお、KIRINJIは12月9日にリリースされる宇多田ヒカルのデビュー15周年記念“ソングカバー・アルバム”『宇多田ヒカルのうた -13組の音楽家による13の解釈について-』への参加も発表されている。錚々たる顔ぶれが揃う同作の中で、彼らがどのような存在感を響かせているのかにも注目だ。


撮影:立脇卓

◎【KIRINJI TOUR 2014】
2014/11/15(土) at 東京・昭和女子大学 人見記念講堂
セットリスト:
01.だれかさんとだれかさんが
02.夏の光
03.きもだめし
04.温泉街のエトランジェ
05.fugitive
06.手影絵
07.虹を創ろう
08.バターのように
09.狐の嫁入り
10.それもきっとしあわせ
11.進水式
12.黄金の舟
13.雲呑ガール
14.都市鉱山
15.ONNA DARAKE!
16.シーサイド・シークェンス ~人喰いマーメイドとの死闘篇
17.嫉妬
18.ジャメヴ デジャヴ
19.ナイーヴな人々
20.もしもの時は

En1.台風一過
En2.Ripples
En3.クリスマスソングを何か
En4.TREKKING SONG
En5.絶交
En6.心晴れ晴れ