しおた・たけし/1979年生まれ。10年ほど記者として勤めた経験を持つ。『盤上のアルファ』(2011年)で小説家デビュー。おもな作品に『罪の声』(16年)、『騙し絵の牙』(17年)、『存在のすべてを』(23年)など(撮影/写真映像部・和仁貢介)
『踊りつかれて』(2420円〈税込み〉/文藝春秋)突如現れた「踊りつかれて」という名のブログには、SNSで誹謗中傷を繰り返す83人の個人情報が事細かく記されていた──。「気怠く、物語的で、きっと30年後もカッコいい」と塩田さんが表現するタイトルも胸を打つ。「アンドレ・ギャニオンのCDアルバムにあった『踊りつかれて』というタイトルが目に留まり、そこからラストシーンが思い浮かび、逆算が始まった」(塩田さん)。直木賞候補作