「海の青と山の緑に囲まれていると、素の自分になれます。流行から後れちゃいけない。大ヒットを飛ばさなくちゃいけない。そういう感覚から解放されて素直に音楽と向き合えます。だから、いつも新鮮な自分でいられる。9月に行われるビルボード・クラシックス・フェスティバルではレベッカ時代の『フレンズ』とソロ時代の『人魚』とユーミンのカバー曲『卒業写真』を歌います。『卒業写真』は児童合唱団との共演ですが、彼らのピュアな心がそのまま声にも表れる。前回、初めてのリハのとき、不意打ちのように児童合唱団の声を浴びて涙があふれ、歌えなくなりました。オーケストラや児童合唱団との共演経験は、ソロやレベッカでロックをやるときにも生かされている気がしています。ロックのステージでも、かつての迷いのようなものはなく、素直にパフォーマンスできているんじゃないかな」
NOKKOが話すビルボード・クラシックス・フェスティバルは9月24日(月・祝)に東京文化会館大ホール(東京)、9月30日(日)に兵庫県立芸術文化センター大ホールで行われる。ほかには八神純子や川井郁子なども参加する。
「ほかのかたのパフォーマンスをステージ袖で観るのは楽しいですよ。オーケストラのせいなのか、キャリアのせいなのか、皆さん素の状態に戻っている気がします。八神純子さんには特に感動しました。1980年代には気づきませんでしたけれど、八神さんの『パープルタウン』のパフォーマンスには、フランスの香りがあります。ああ、ヨーロッパの音楽がお好きなんだな、と思いました。それで自分のパフォーマンスを後で映像を見ると、ロック人間じゃないはずなのに、ギラギラした欲望もあるんですよ。熱海で穏やかに暮らしているのに、落ち着いたつもりなのに、ステージに上がると無意識のうちにギラギラがでてしまう。どこかでスイッチがはいってしまう。なぜなのか、自分でもわかりませんけれどね」(神舘和典)