■ニセ新聞でまんまと相方を騙した千鳥・大悟

 一方、「アルバイトでの出会いをきっかけに、コンビを結成したのがオリエンタルラジオです」と語るのは前出のテレビ情報誌の編集者だ。

「2人は保険会社の自動車事故受付のオペレーターのアルバイトで知った。お笑いが大好きだった中田敦彦(35)が、藤森慎吾(35)に漫才やお笑いのテープを聞かせていたとか。ただ、中田はあまりにお笑いを愛するがゆえに、それを仕事にできるのかどうか悩んでいたそうです。そんな中、藤森が中田に『俺と一緒にお笑いをやってほしい』と手紙を送ったそうです。とても熱い内容で、『最高の親友、最強の相方になってほしい』という一文で締めくくられていて、中田は感動してしまい、晴れてコンビ結成となった。結成してすぐに武勇伝ネタで大ブレイクしたのは、みなさん周知のとおりです」

 熱い思いといえば、こちらはその裏返しなのか、その場の“嘘”がコンビ結成のきっかけとなったパターンがある。今や大人気の千鳥だ。高校の同級生だった2人は卒業後、別々の道に進むことに。大悟(38)は芸人を目指して大阪へ行き、一方のノブ(38)は芸人をやりたい気持ちはあったが、自分には無理だと思い、広島で会社員になっていた。その後、大悟はノブを相方にすべく「大阪でピン芸人として売れたから、俺と一緒に漫才したら売れる」と甘い言葉をかけたという。さらに「大阪の超新星!ピン芸人・大悟」という見出しのニセ新聞をわざわざ作成し、それを信じてしまったノブは会社に辞表を出し、親を説得して大阪に出ていったのだが……もちろん、当時、大悟はまだ全然売れていなかった。ノブの父親は当時、大悟に対し激怒していたというが、だんだん売れ始めると現在では「みんな大悟君のおかげ」と手の平返しで感謝されるという。

 お笑い評論家のラリー遠田氏は、他のコンビ結成の逸話や昨今の結成事情についてこう話す。

「例えばロッチは友人4人で旅行に出かけて、そこで意気投合してコンビ結成にいたったし。バイきんぐも2人は自動車教習所の合宿で知り合い、その後、養成所の面接で偶然、再会したそうです。日本エレキテル連合も面白い。ピン芸人同士で同期だったのですが、中野は面白く、橋本はずっとすべり続けていた。追い詰められた橋本がコンビを組んでほしいと中野に懇願し、中野は自分の身のまわりの世話をすべてやるならいいと条件を出して、橋本がそれを受け入れたそうです。最近のお笑い芸人の相方選びの傾向としては、養成所に入って芸人を目指す人が大半なので、養成所で出会うパターンが最も多い。また、各大学にお笑いサークルがあるので、学生時代にそのサークル内でコンビを組むというパターンも目立ちますね」

 どの芸人も、ベストなパートナーに出会えた強運とお笑いへの果てしない熱量があってこそ、現在の活躍があるのかもしれない。(ライター・高梨歩)

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高梨歩

高梨歩

女性ファッション誌の編集者など経てフリーライターに。芸能やファッション、海外セレブ、育児関連まで、幅広いジャンルを手掛ける。活動歴は約20年。相撲フリークの一面も。

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