「いわゆるビッグデータを活用して、人口数や人口が集中する時間帯など、携帯電話ネットワークで割り出すもの。例えば、東京の新宿の繁華街のあるエリアには午前10時にはどれくらいの人口がいるとか、年齢層などを割り出せる。それが午後7時になるとどう推移するかなど、ビッグデータを活用した調査では一般的に使用される手法。携帯電話のネットワークがもとになるため、精度も高い」

 それが今年1月に届けられると、前出の元協会幹部は「ひっくり返るほど、ビックリしました」というのだ。

 詳細なデータをもとに報告された、4日間の推定人出は、<●日本人来場者:約210千人><●外国人来場者:約1・4千人>として報告されているのだ。

 つまり、日本人の人出が約21万人、外国人が約1400人、合計21万1400人しかいないというのだ。

 調査は、携帯電話のネットワークがもとになっているので、15歳以上70歳代までが対象。携帯電話を所有していないとみられる、子供や80歳を超す高齢者は除外されている。

 筆者は昨年、今年と阿波踊りを実際に取材したが、子供や高齢者もいたものの、とても多数という数ではない。

 また、数字は阿波踊りを彩る、有名連が除外されていない。有名連のメンバーは期間中、毎日、出番があり踊りを披露する。有名連の関係者は1日あたり約4千人とされ、それが4日間なので、約1万6千人が除外されなければならない。そうなれば、人出は20万人を割る計算だ。

 だが、昨年の人出は123万人、今年は108万人、5倍から6倍もの差がある。

 そして、経済波及効果については<15.5億円>と算出しているのだ。

 これまで阿波踊りの経済波及効果は、100億円とされてきた。

<徳島経済研究所は1991年、阿波踊りの経済波及効果を125億円と試算した。90年の人出135万人(県外57万人、県内78万人)をもとに、宿泊費、交通費、飲食費、お土産代、踊り子の衣装代、クリーニング代などを細かく計算してはじき出した。試算は24年前になるが、同研究所では「阿波踊りは今も県内最大のイベントで、経済効果は100億円を超えるはず」とみる>(2015年8月5日・朝日新聞から)

 などと報じられており、「阿波踊りで100億円」は地元で当たり前のこととされてきた。

 だが、その数字も前提となっている人出が違うため、7分の1に減っているのだ。

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なぜ「調査」に踏み切ったのか