仕事がさらに楽しくなっていた30代。32歳のときに当時の彼に人生2度目のプロポーズを受ける。しかし、こちらも結婚には至らずじまい。理由は……。
「夏休みに彼の実家に遊びに行ったときに、彼とお母さんが仲良すぎるのに驚きました。最初は、『久しぶりに会ったからだろうな』くらいに思って、さほど気にしていなかったんですが、何をするにも母親にお伺いを立てる。自分で決めないんですね。これは、何かおかしいと思い、『マザコン?』という言葉が頭をよぎりました。マザコンで苦労した友人の話を聞いたこともあって、その後も観察していると、どうもそんな感じ。どんなにいい人、やさしい人でも心理的に親離れ、子離れしていない人と一生を共にすることはできないと思って別れました。色々理由気を聞かれましたが、まさか『マザコンだから』とは言えませんし、別れるまでにちょっと時間がかかってしまい、疲れましたが、本当にあのとき、結婚しなくてよかったと思っています。選択は間違っていなかった!」
■結婚へのイメージが徐々に変化し、気持ちも次第に…
以降、10年間は浮いた話は一切なし。仕事ひと筋。外資系の会社に勤務していた佐藤さんは着実にキャリアアップをしてきた。
「職場の環境や周囲の人間にも恵まれ、やりたい仕事を自由にやらせてもらえました。特に30代半ばからは何をやっても上手くいき、だから、ますます頑張る、お給料もアップするという好循環。結婚を考える暇はありませんでしたね。ところが、気がつくと40代になっていて友人や同僚、後輩が次々と結婚し、幸せな家庭を築き、子育てしていたんです。それを見聞きしているうちに若い頃には堅苦しいと思っていた結婚のイメージが少しずつ変わり、やわらかくて豊かなものじゃないかと思いはじめました。だからと言って、すぐに結婚したいとは思わなかったですけど……。でも、ふとしたときに将来のことも少しずつ気になるようになってきたんです」