「私たち、結婚しました!」――続けて届いた2通の結婚報告はがき。お葬式に参列することのほうが増えていたというのに、まさか同年代である50代の友人から結婚話を聞かされるとは。もしかして、と調べたところ、ここ20数年で50歳前後の結婚増加が判明。総数から見れば少ないものの、“50歳からの結婚”が増えていることは間違いないようだ。連載「50歳から結婚してみませんか?」では、結婚という大きな決断を50歳で下すことになった5人の女性の本音とリアルに迫る。第9回は、仕事も遊びもやりきり、国際結婚を選んだ佐藤洋美さん(仮名・54歳・主婦)の前編をお届けする。
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スッと伸びた背筋が美しく、上品なたたずまいが印象的な佐藤さん。43歳のときに仕事の知り合いを通じで日系3世の彼と出会い、3年の交際期間を経て46歳で結婚。これを機に仕事を辞め、アメリカヘ移住。
「まさか自分が50間近で結婚し、しかも海外で生活するなんて思ってもみませんでした。結婚は私にとって、とても堅苦しいイメージでしたから。というのも父は自分で事業を、母も商売をしていた環境で育ったので、結婚はある意味独立した大人の人間同士がするもの。経済的なことも含め、支え合うというよりも対等な立場で生活を共にするものだと思っていました。だから、世間で言われている温かく、やわらかいというイメージはなかったですね。そして、長女の私は親が築いてきたもののすべてを背負わなければいけないと勝手に思っていたんです。それに20代、30代は仕事が楽しくて、楽しくて結婚は考えられなかったですね。26歳のときに学生時代からつき合っていた人にプロポーズされましたが、自分の中では機が熟していなかったので、お断りしました。それが残念だとも、惜しいとも思わなかったです。気力も体力もありますし、将来について不安もなく、いろんなことを深く考えていなかったんでしょう。若いって素晴らしいけど、怖い!(笑)」