先のことをあれこれと考え、なんとなくモヤモヤした気持ちを抱えていたときに、知人に紹介されたのが今の夫。
「夫は私より8歳年上。そのせいかどうかわかりませんが、当初から結婚を前提に考えていたようです。私はつき合っても“結婚”ということは頭になかったですね」
しかし、来日するたびに連絡が来るようになり、徐々にふたりだけで会うようになってきた。また、メールのやり取りも頻繁に。そして年に1、2回は佐藤さんが渡米し、お互いの性格や人柄など段々に理解を深めていった。
「会っていくうちに、とても真面目で誠実な人だということがわかりました。それはメールの文章からも感じられましたね。でも当時は、『このまま友人でもいいかな』と思っていたんです」
結婚を望んでいた彼と佐藤さんとの間で、このときはまだ温度差があったが、つき合って3年目にプロポーズされた。
「『今さら結婚なんて』という気持ちと、彼はアメリカ生まれのアメリカ育ち。もちろん、仕事も住まいもアメリカ。結婚すれば向こうでの生活になりますから、仕事も辞めなければなりません。すぐに返事はできませんでした。ただ、仕事は自分なりにやりきった感があったので未練はなく、辞める決心をしたときは、むしろさっぱりとした清々しい気持ちでしたね。海外生活への不安もありませんでしたが、高齢の親を残していくことが気がかりでした」
■私の結婚は親にとって想定外のことだった。しかも海外へ移住
いろんなことを考えているうちに返事をしないまま時間が経っていったが、真面目に考えている人には誠実に対応をしなければと思い、46歳のときに承諾。
「親に報告すると、予想はしていましたが、とても驚かれました。40歳半ばを過ぎても実家暮らしで結婚する気配もまったくない。このままずっと家にいるものばかりだと思っていたのに結婚し、しかも海外ですから、まさに青天の霹靂だったんじゃないでしょうか。ショックと寂しさを同時に感じたと思います。もし、結婚するとしても長女の私に婿を取らせるつもりでいたと後になって聞き、そういう親の心情を思うと、申し訳なく、いたたまれない気持ちになりましたね」