カンニング竹山/1971年、福岡県生まれ。お笑い芸人。本名は竹山隆範(たけやま・たかのり)。2004年にお笑いコンビ「カンニング」として初めて全国放送のお笑い番組に出演。「キレ芸」でブレイクし、その後は役者としても活躍。現在はお笑いやバラエティー番組のほか、全国放送のワイドショーでも週3本のレギュラーを持つ(撮影/写真部・小原雄輝)
カンニング竹山/1971年、福岡県生まれ。お笑い芸人。本名は竹山隆範(たけやま・たかのり)。2004年にお笑いコンビ「カンニング」として初めて全国放送のお笑い番組に出演。「キレ芸」でブレイクし、その後は役者としても活躍。現在はお笑いやバラエティー番組のほか、全国放送のワイドショーでも週3本のレギュラーを持つ(撮影/写真部・小原雄輝)
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 祭りや縁日でおなじみの、ゲームやおもちゃなどの景品が並ぶくじ引き。その“闇”を暴くという動画がユーチューブで昨年公開され、再生回数2千6百万回という人気だ。しかし、お笑い芸人のカンニング竹山さんは異議を唱える。

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 この前、ユーチューブで祭りのおみくじに10万円以上つぎ込んで、当たりが出るかひいてみたっていう動画を偶然見つけたんですよ。結局、1等とか大きな当たりは出なかったんですが、人気のあるユーチューバーだったから撮影しているところに子どもたちが群がってきて、コメント欄にも「完全に詐欺だな」とか「検証してくれてありがとう」とか書かれていました。でも、何か違うと思ったんですよね。

 テキ屋は反社会的な集団とつながっていて、そこにお金が流れているのはいいのかっていう話もあるけど、テキ屋にはテキ屋の論理があって、くじを引く人たちも当たらないよなと思いながら引くものでしょ。射的だって普通に考えたらマイナスだし、りんご飴だって焼きそばだってあんまり身体に良くないんだろうなとか高いなと思いながら買うものなんですよ。縁日はそれを楽しむものなのに……。だから親御さんは「買っちゃダメ」って言うし、みんな大人になるうちに何となくそういうことを学んでいくんです。

 大人になって社会に出ると公式通りにいかないことのほうが多いのに、◯か×か、正義か悪かで線引きしちゃうと、40代とか50代になったときに苦しくなるんじゃないだろうか。社会的には良い意味のグレーゾーンってあると思うんですよ。表に出す必要がない事情とか。その動画を見た何百万人という子が、それを正義だと思ってしまったら、大人になったときに遊べない、つまらない人間になってしまわないだろうか。そんな余裕が無い人生、機械みたいで楽しくないのではと思うんですよ。

 きっといまの子たちには、フリーのテキ屋だった「フーテンの寅さん」なんて、詐欺師だからって受け入れられないかもしれないですよね。

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