
アジア大会(インドネシア、8月18日~9月2日)は開会式に先立ち、男子サッカーが10日から行われている。2年後の東京五輪を目指すU-21代表で臨む日本代表は14日に初戦でネパールと対戦する。A代表の指揮も兼任する森保一監督は今回の人選について「その条件の中でベストな、今後につながるメンバー選考をしてきました」と説明した。
秋にU-19アジア選手権を控える99年以降生まれの選手は対象外とし、各クラブから招集1人に限定。また、大会期間中にAFCチャンピオンズリーグ (ACL)を戦う鹿島アントラーズからの招集も見合わせている。そうした状況下でも「視察も多く重ねていますし、その中で良いパフォーマンスをしている選手を中心にメンバー選考をしています」と森保監督が語る通り、5人の大学生選手を含め、クラブで出場機会を得て好調をアピールしている選手で構成されている。
その中で筆者が注目選手として挙げたいのは、前田大然(松本山雅FC)、板倉滉(ベガルタ仙台)、松本泰志(サンフレッチェ広島)の3人だ。
前田は山梨学院大学附属高校から松本に加入し、昨年はレンタル移籍先の水戸ホーリーホックでリーグ二桁得点を挙げるなど爆発的なスピードを生かした得点力で注目を浴びた。今年1月のU-23選手権はケガで辞退となったが、3月のパラグアイ遠征で代表デビューを飾り、ベネズエラ戦で2得点を決めた。
J最速レベルのスピードをいかにフィニッシュワークに生かすか。それが前田の課題だが、現在J2首位を走る松本でも日進月歩での成長を感じさせる。松本のお家芸でもある高い位置からのプレッシング、さらに自陣でのプレスバックなど守備的なタスクをこなしながら、攻撃に転じれば相手ディフェンスの裏を執拗に狙う。3-4-2-1のシャドーを担う中でワンタッチパスでボールを中盤の味方に落とし、一気に加速してゴールを目指すなどプレーの幅を増やしている。
前田のもう1つの持ち味がフィニッシュの決断力と球際の強さだ。視野が広いタイプではないものの、限られた選択肢の中でゴールに直結しやすいプレーを迷いなく実行しているようだ。タイプは異なるが、球際での執着心は中山雅史(元ジュビロ磐田など)や岡崎慎司(レスター/イングランド)に通じるものがある。前田は基本的にはパスの受け手であり、良い出し手に恵まれることが活躍の条件となるが、ベネズエラ戦では今回のメンバーでもある三好康児(北海道コンサドーレ札幌)から絶妙なスルーパスを受けてゴールしており、神谷優太(愛媛FC)や三笘薫(筑波大)との“ホットライン開通”にも期待だ。