年齢や病気のことなど総合的に考えると結婚する前から子どもは人生設計にはなかった。

「若い頃、結婚は考えていませんでしたが、子どもが好きだったので病気をする前は子どもは欲しいと思っていました。でも、2度もがんを患い、1度目の乳がんが治った後に子宮内膜症の手術もしているので、子どもを授かることは難しい。その代わり、甥や姪、友人の子どもたちをかわいがっています。それに、夫ひとりでも大変なのに子どもがいたら、もっと大変なんだと想像すると、私には夫とふたりの生活が合っているんだと思います。夫婦のスキンシップものようにやさしく、穏やかなものです。私たちには、それが心地よく、ちょうどいいんですね」

■結婚適齢期は人それぞれ その人に合った時期があるのを実感

 結婚は人生の想定外だったが、5年目にして思うことを改めて聞いてみた。

「結婚が人生のすべてではありませんし、そう思う気持ちは今も変わっていませんが、私は結婚して本当によかったと思います。モノクロがカラーに、無味が味わいのあるものに、細山道が太山道になりました。人生が深く、豊かなものになったのは確かですね。そして、結婚年齢は、その人にしかないいちばんいい時期があるということがわかりました。若い頃に何度がプロポーズされたこともありますが、私が結婚するのは、そのタイミングではなかったんですね。結婚に関心がなかったということもありますが……。50歳近くになって、若い頃では巡り会えなかったとてもいい人と巡り会えました。ただ、出産のことを考えれば、特に女性の場合は若いほうがいいのかもしれません。でも、結婚と同じで人生ってそれだけじゃないと思うんです。それよりも、自分なりにいろんな経験を積み、成熟した後の結婚は若いときに結婚するのとはまた違った味わい深さがあります。夫のことは、もちろん好きですが、そういう感情を超越して何かつらいことや大変なことがあったときに立ち返るのは、いつでも夫への感謝の気持ちです。これからも、この気持ちを忘れずに夫を支えながら、ふたり仲良く年齢を重ねていきたいですね」

(取材・文/須藤桃子)

須藤桃子(すどうももこ)
1965年東京生まれ。フリーライター。女性の生き方、料理、健康、ペット(特に猫)系を中心に活動

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