そしたらその人は恐い人ではなくて、山梨県かどこかの人で数年前に事業が失敗して会社も倒産して、首をくくろうと思っていたらしい。そのときにテレビに僕が出ていたと。そのオジサンの表現だと僕が「みんなにいじめられながら『うるせーこのやろう!』とか言いながら頑張って戦っていた」と。それを見て「俺は何、死のうとしているんだ?」と思って死ぬのをやめたと書かれていたんですよね。「また一から頑張って、今日こうやって家族で焼き肉屋にやっと来ることができた。竹山さん本当にありがとうございました」という手紙だったんですよ。
自分を咎めましたね! だって恐い人だったら嫌だなと思っていたんだから(笑)。でも、そうか僕らの仕事は間接的かもしれないけど、テレビを見た人がそれぞれに受け取って、それが僕らのパワーになっているんだと思ったんですよね。僕はステージから「みんな愛してるよー!」とは言わないけど、テレビでキレて怒っている姿を見て、人生頑張ろうと思っている人もいる。世の中そういうふうに受け止めてくれる人もいるんだから、僕は僕で頑張らないといけないと思ったわけです。もちろんファンのため、とかじゃなく自分のためにね。
だってあの時、あのオジサンは僕をテレビで見ていなかったら首をくくって自殺していたかもしれない。家族もいるのに。バラエティーだってときどきこういうことが起きるんですよ。不特定多数が見ているテレビとか芸能の仕事ってこういうことだから、どんなシチュエーションでも一生懸命やらなきゃいけないんだなと思ったんですよ。ロケで沖縄に行っても北海道に行っても、自分のことを知ってくれている人がいて、それが日常になってきているんですけどよく考えると不思議なことですよね。
安室ちゃんはその最たる人ですよね。クオリティーの高いものを常に出し続けて、安室ちゃんによって人生が変わった子もいっぱいいるだろうし、そのことも受け止めながらやっていると、良くも悪くもプレッシャーになるだろうし大変なことがあるんだろうなと思う。アーティストの人たちは自分が納得できるものしか出したくないわけで、すべて自分で決めなきゃいけないし。だから自分で、ここまでって決めたのかもしれないですよね。